シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPインドの気候(社会・文化1)

インドビジネス基礎情報

2006年9月18日

インドの気候(社会・文化1)

今回は大項目の最後である社会・文化の1回目で、インドの気候についてまとめておきます。インド訪問の計画を立てる場合は、参考にしてください。
インドは北部カシミールが九州、南部がフィリピンやエチオピアあたりの緯度になります。

 
インドの地形としては、北部にはヒマラヤ山脈、東部にガンジス川に沿ったヒンドスタン平原、そして南部にデカン高原があります。ヒンドスタン平原は平坦で、デリーから東端のベンガル湾まで高低差はわずか200mほどしかありません。

 
このようにインドは大きな国であり、その気候も地域により異なります。たとえばインドの北端と南端とではその気候的には、全く関連性はありません。ヒマラヤ山脈周辺は寒冷気候、西北部は砂漠気候を含む乾燥気候、中部・東部の温帯気候、そして南部は熱帯気候となります。また下記に示すように季節によってもかなり変わりますので、インドに行く場合は事前のチェックをしっかり行っておくことが必要です。

 
インドには大きく、雨季、乾季、暑季の3つの季節があります。
インドでは、だいたい6〜9月が雨季です。この時期はインド南西から、アラビア海の湿気を含んだ季節風(モンスーン)が吹き込み、大雨を降らせます。雨季はだいたい6月のはじめに南部から始まり、徐々に北上して7月初めにはほぼ国全体が雨季に入ります。したがってアラビア海に面するムンバイやコーチンなどは雨量が飛びぬけて多くなります。

 
私も関係者や顧客に対しては、特に7、8月のインド訪問は、できれば避けるように勧めています。しかし9月からはその分インドを訪れるビジネス客や観光客が増える時期となりますので、インドの多くのホテルでは、9月1日をもって宿泊料を値上げします。今年は好景気でホテル不足の状況もあり、比較的大きく値上げしているようです。

 
この時期のインドの雨は日本の梅雨のように長雨が続くというわけではなく、1時間程度のスコールが日に数度あるのが特徴です。スコール以外では曇りの日が多く、湿度は高くなりますが、気温は30度を超える程度(南部では35度程度)で、朝晩は25度程度まで下がります。モンスーンは毎年のように大洪水を引き起こし、多くの死者を出しています。またインドの基幹産業である農業が豊作になるかどうかはその年のモンスーン時の降雨量に大きく依存しており、これはインドのGNPにも大きく影響します。近年はモンスーンでの雨量が少なく、農村地帯での干ばつの被害もでています。

 
ただ南インドのベンガル湾沿いは、東北側から吹くモンスーンの影響を受け、11〜12月が最も雨が多い時期となります。またヒマラヤ山間の聖地を訪れる場合はこの時期が最高です。

 
雨季が終わって10〜3月の間が乾季となります。9、10月は最高気温で35度程度あり、まだ日本でいう真夏日が続きます。11〜2月になると冬となり、デリーなどでは最高気温は20度前後ですが、最低気温は零度近くまで下がることがあります。特に北部山岳部では零下何十度にもなります。南部ではそれでも最高気温は30度前後で、朝晩でも20度前後です。いずれにしても、この時期がインド旅行には最も良いシーズンになります。

 
その後、3月末から5月までの2ヶ月間が、年間を通して最も暑い夏となる暑季です。特に北部で気温の上昇が激しく、零度近辺にまで下がっていたデリー周辺で40度近辺に上昇します。中央インドでは45度を超え、また北西部ラジャスタン州の砂漠では50度近くまで上がることもあります。しかし東部コルカタや西南部ムンバイや南部チェンナイなどでは40度を越えることはありません。イギリスの植民地時代にこの時期をすごすのに良いような高原リゾート地が造られ、ヒマラヤ山ろくの避暑地や紅茶の産地として有名な東インドのダージリンや南インドのニルギル産地のウーティなど有名な避暑地があります。

 
その他、ITの中心地であるバンガロールは南インドでもデカン高原の高地にあり、4、5月には30度を越えますが、それ以外は20度台後半で、過ごしやすい気候で、9〜11月にはやや雨は降りますが、全体として雨量は少なくすごしやすい気候です。

 
次回は歴史の第2回、アーリヤ人の到来についてです。インダス文明のインドに西方からアーリヤ人が進入してきました。これは現在まで続くその後のインドに大きな影響を与えることになりました。

文=土肥克彦(有限会社アイジェイシーauthor

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、川崎製鉄入社。東京本社勤務時代にインド・ダスツール社と協業、オフショア・ソフト開発に携わる。
2004年有限会社アイジェイシーを設立、ダスツール社と提携しながら、各種オフショア開発の受託やコンサルティング、ビジネス・サポート等のサービスで日印間のビジネスの架け橋として活躍している。
また、メールマガジン「インドの今を知る! 一歩先読むビジネスのヒント!」を発行、インドに興味のある企業や個人を対象に日々インド情報を発信中。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.082(2006年09月18日発行)」に掲載されたものです。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPインドの気候(社会・文化1)