シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPパキスタン編②:パキスタンに大量消費の時代到来?

アジア新興国ビジネス情報

2013年2月4日

パキスタン編②:パキスタンに大量消費の時代到来?

Crossborder Research Pte LtdManaging Director 碇 知子

パキスタン編②:パキスタンに大量消費の時代到来?

ドルメンモールに入居するハイパースターのレジには長蛇の列。

「中間層の増加で消費市場の拡大」といえば、インドネシアなどのASEAN市場の代名詞のように使われていますが、この言葉はそっくりそのまま、パキスタンにも当てはまります。

 

前回の原稿を書き終えた直後に「首相に逮捕命令、大規模デモ」のニュースがありました。「やっぱりパキスタンは危ない」と思った方も多いでしょう。しかし、事件があっても生活している人たちは買い物をするのです。ジェトロ カラチの白石所長によると、事件後の週末のショッピングセンターは駐車場に入れないほどの賑わいだったそうです。中間層人口3,500〜4,000万人、非公式の経済も入れれば7,000万人。この中間層による消費市場は75億米ドルとも試算されています*1

 

夜中までにぎわうショッピングセンター

消費市場の拡大を象徴するのは、2010年、カラチにオープンしたショッピングセンター、ドルメンモール(Dolmen Mall)です。昨年10月に訪問した時には、明るく、広い店内は大勢の人でにぎわっていました。豊富な品揃えを誇るアンカーテナントのカルフール(Carrefour、パキスタンでの店舗名はハイパースターHyperstar)のレジには夜9時だというのに長蛇の列。夜中の1時まで営業しているそうです。

 

インドのFMCG(Fast-moving Consumer Goods: 一般消費財)市場が約130億米ドル、パキスタンは6分の1の約22億米ドルですが、向こう2〜3年で倍増すると言われています。カラチ証券取引所に上場しているユニリーバ、コルゲートなどの大手消費財メーカーの売上は軒並み2桁増を記録。家電市場も2012年の20億米ドルから2016年には33億米ドルに増えると試算されています。

 

こうした中、2007年に参入したドイツの大手小売チェーンのメトロ(METRO)グループは既に10店舗を展開(合併したマクロMAKROの店舗を含む)。カルフール は中東のパートナー、マジットアルフタイム(Majid Al Futtaim )グループの出資で、ハイパースターをカラチとラホールに1店舗ずつ出店、今後さらに7店舗開設する予定です。

 

ほとんど皆無の日本ブランド

しかし、寂しいことに日本ブランドはほとんど見かけません。唯一、テレビ売り場にソニーとパナソニック。白物家電は韓国と中国ブランドがほとんどで、日用品はユニリーバ、P&G、コルゲート、ネスレなどの欧米ブランドのオンパレード。日本で発明された即席麺さえ、ユニリーバのクノール、ネスレのマギー、若干、韓国ブランドの辛ラーメンが並んでいる状態です。パキスタンは危険、と日系企業が敬遠しているのでしょうから、この状況も無理のないことなのでしょう。

 

欧米、中国ブランドとの競合

もちろん、パキスタンの消費市場攻略は簡単ではありません。欧米の大手メーカーのブランドが確立しているうえに、安い中国製品も多数入ってきています。ハイパースターに並ぶ商品はユニリーバやP&Gの商品でも、道端の小規模店の売れ筋は安い中国製品。現地のお店では、紙おむつだけとっても、5〜6の中国製品を目にしました。

 

しかし、前回コラムで書いたように、パキスタンは世界第6位の人口大国。最近のデロイトのレポートでは、2012年に小売市場規模1,034億米ドルで対前年比18%の伸びを示したパキスタンを「次世代小売市場の隠れたヒーロー」の1つに位置づけています*2。このまま素通りを続けてしまうのはもったいない気がしませんか。

パキスタン編②:パキスタンに大量消費の時代到来?

洗練された空間が広がるショッピングセンター 「Dolmen Mall」。夜でも買い物客が続々と訪れる。

*1出典『Hindustan Times 』2012年3月23日
*2“Hidden Heroes – The next generation of retail markets” 2011 Deloitte Global Services Ltd

文=碇 知子

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.228(2013年02月04日発行)」に掲載されたものです。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPパキスタン編②:パキスタンに大量消費の時代到来?