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アジア新興国ビジネス情報

2013年3月4日

パキスタン編③:パキスタンは危ないのか? 〜パキスタンの治安〜

パキスタンの児童・生徒の通学風景。危険なイメージとはかけ離れた、ごく普通の日常生活が営まれている。

アジア新興国ビジネス情報としてパキスタンを取り上げていただき、その魅力、可能性についてご紹介いただいている。パキスタン在住者としてありがたい限りであるが、パキスタンとのビジネスを語る際には、どうしても治安の懸念がつきまとう。そこで今回はパキスタンからパキスタンの治安についてご紹介したい。

 

アセアン各国と比較して、パキスタンの治安は「良くない」というのは否定できない事実であろう。だが、だからと言って、「ビジネスができないほど」ではないというのが当地在住駐在員の一致した見方だ。もし「危険」ということで、パキスタンをビジネス対象から除外しているとしたら、それは貴重なビジネス機会を逸しているのではないかと思えてならない。なぜなら、進出済みの欧米系企業は軒並み業績が好調であることに加えて、当地を初めて訪れる日本人方々も「思ったより普通ですね」とほぼ全員そのような第一印象を語っているからだ。また、現在注目されている他のアジア諸国との比較でも、工業団地の存在、法制度、市場、労働力などを考えると、十分競争可能なのではないかと思うからである。

 

3つの治安問題

では、パキスタンの実際の治安状況はどうなのか。当地進出日系企業の間では、当地の治安問題を3つに分けて捉えている。すなわち、①テロ、②政党間、宗派間等の対立による争い、③強盗などの一般犯罪である。

 

パキスタンがテロリストの温床といわれるようになったのは、旧ソ連のアフガン侵攻に対し、米国等がパキスタンをその前線基地と位置付け、ソ連軍に対抗する兵士(ムジャヒディン)を育成したのが端緒だ。現在、テロ、特に自爆テロは、通常、外国人ビジネスマンが活動しないアフガニスタン国境、ハイバル・パフトゥンハ州などがほとんどで、その攻撃対象も軍、警察が中心となっている。また、自爆テロの発生件数自体減少傾向にある(パキスタン・セキュリティ・レポート)。

 

政党・宗派間等の対立は、パキスタン国民の96%がイスラム教徒からなるイスラム国家でありながら、多種多様のイスラム教宗派、民族、言語、出身地をもつモザイク国家であることがそもそもの原因である。それぞれ出自の違いや所属宗派―支持政党の違いからもめ事が起こりやすい。特にカラチは、人口流入が続いているため、その勢力図が変化しやすく、小さないざこざが発生すると、大きく波及しやすい環境にある。ここでも外国人は、攻撃対象となっておらず、争いの蚊帳の外である。

 

したがってテロおよび政党・宗派間等の争いについては、外国人は巻き込まれないように注意している。そもそも攻撃対象となる軍、治安施設にめったに行くことはなく、政党・宗派間の対立が発生する地区も、外国人が多く住むエリアから離れている。

 

最後に一般犯罪である。強盗は世界中でみられる一般犯罪であるが、パキスタン、特にカラチに多くみられる。パキスタンでは武器が容易に手に入りやすい環境にあるため、拳銃などの武器で威嚇をして金品を強奪する(当地ではガンポイントと呼んでいる)。カラチ在住の日本人は、「狙われないことが、最大かつ最良の対策」と考え、車で移動の際は助手席に警備員を同乗させている。ちなみにカラチより治安がよいイスラマバードやラホールでは警備員を同乗させることは通常ない。

 

以上、簡単に当地の治安についてご紹介したが、パキスタン国土全体が戦場にあるわけではなく、地元一般市民はもちろんのこと、日本人駐在員やその家族も毎日生活している。事前の情報の収集と準備を適切に行えば、ビジネス活動は十分可能である。是非ご検討いただきたい。

パキスタン編③:パキスタンは危ないのか? 〜パキスタンの治安〜

警備員を車に同乗させることが、犯罪防止効果になる場合も。

文=白石 薫

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.229(2013年03月04日発行)」に掲載されたものです。

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