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2009年12月7日

「本気で学ぶ中国語」のすすめ

チャイナリンガスクール校長 趙玲華(チョウ・リンカ)氏

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「どんな言葉を学ぶにも、基礎からのしっかりとした積み上げが大切で、聞く、話す、読む、書く、訳すの総合力を身につけられるかどうかが鍵になります」と、『本気で学ぶ中国語』(ベレ出版)を今年11月に日本で上梓したばかりの趙玲華さんは言う。

 

趙さんは、 オーチャードロード沿いのファーイーストショッピングセンター内にあるチャイナリンガスクールの校長であり、日本人に17年間中国語を指導してきた大ベテランだ。その経験から編み出された言語の総合力を身につけるための教授法は、中国語だけでなく、英語や他の言語にもあてはまる。2003年の開校以来、チャイナリンガスクールでは、そんな趙さんの教授法に基づいて、日本人を対象にした中国語と英語のレッスンを提供し、質の揃った教師陣、中国語の検定試験での高い合格率などで知られている。

 

 

『本気で学ぶ中国語』、画期的な学習書が誕生

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趙さんの経験から編み出された独自のアプローチや学習のコツがふんだんに詰まった『本気で学ぶ中国語』では、その基礎からの積み上げを建物を建てることになぞらえて、発音の部分は土台を整える基礎工事、文法は建物の骨組みを構築する躯体工事、単語や決まり文句などのフレーズはその建築材料のようなもの、と説明する。しっかりした建物を建てるには、十分な基礎工事と躯体工事を行うことが絶対条件なのです、と熱っぽく語る趙さんは北京第二外国語大學を卒業後、日系企業にて通訳、翻訳担当を長年勤めた経歴を持つ。その企業の中に建設会社があったことから、建設工事のメタファーが登場する訳だ。

日本語を100とすると、中国語には1600もの発音の種類がある。中国語学習の40%は発音の総合訓練だという。中国語学習の入門書にあたる『本気で学ぶ中国語』には、2100の単語、100点以上の文法ポイント、1100の例文と会話があるが、それらは全て4枚組ものCDに納められている。聞いてわかってもらう中国語を話すために、基礎工事にあたる発音を確実にマスターするためのものだ。また、「躯体工事としての文法も、各項目の学習のポイントにそって学習し、この一冊をマスターすれば、中国語検定準4級および4級に合格するレベルに楽々に到達できる」と趙さんは明言する。

 

趙さんが自著を出版したきっかけは、総合力を高めるための教材が市場になかったこと。「何冊かの教材を組み合わせて使っても物足りないので、自分で教材を制作するうちに相当な量になり、独自の学習書にすることを考えました」という。チャイナリンガでは、中・上級者になると、時事問題を学ぶために毎日の新聞記事やテレビ番組の録画なども併用するが、一貫してオリジナルの教材を使用している。『本気で学ぶ中国語』は、独自の手法を多く取り入れているため、日本での出版までの道のりは決して安易ではなかったが、それが認められるところとなり、画期的な語学教材で知られるベレ出版から出版されることになった。

 

挫折無し、伸び悩みなしの学習法――日本人の特性に合わせて

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「日本人は、世界一と言っていいほど努力を惜しまない民族で、記憶力も良く、賢いと思います。ですから、語学をマスターする上で、どういう教授法や教材に恵まれるかが大事なんです。間違った方向でひたすら勉強しても挫折するだけ。」とした上で、「他の外国人と比べて、読み書きが比較的スムーズに学習できる強みを生かして、弱みである、聞く、話すの部分を十分補うことが必要です。つまり、中国語を聞きとれると同時に言いたい事が言えるようになることがとても大事です」と、日本人の特徴を分析する。口を開けて練習しない日本人が多く、もっと耳と口を使って練習をする必要がある、という。言いたい事が言えるようになるために、日本人の習慣にあった表現を中国語でできることが自然に会話を運ぶポイントだという。例えば、「いつもお世話になっています」、「恐れ入りますが」などが状況に応じて表現できたり、「一時帰国」や「単身赴任」など、実際の会話で使える語彙を増やすことも大事だ。

 

また、常に母国語と切り離さないで学習する事の大切さを趙さんは強調する。大人になってからの外国語学習は、母国語で勉強することで、言葉と言葉が素早くリンクして、早く正確に頭の中で訳すことがきるからだ。学習の過程で特につまずきやすい部分でもある文法や複雑用語(抽象詞、同義語、四字熟語、ことわざ)の説明には、母国語での方がはるかに理解が早い。その点をスピーディーに学習できることで、挫折や伸び悩みを防ぐという訳だ。

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「中国の外国語大学は、4年間の在籍期間に、ベースが全く無い状態から、卒業時にはその言語の通訳や翻訳者として自立できるほどの語学力を習得させる。聞く、話す、読む、書く、訳すの総合力を身につけるアプローチが功を奏しており、同時に常に母国語と切り離さないで学習することがポイントです」と趙さんは語る。チャイナリンガでも中国の外国語大学のスタイルを踏襲しており、教師も大学で英語や日本語を専攻した人ばかりだ。語学の5つの力を総合的にアップさせる為に、授業では五官を使うトレーニング、読む=目、聞く=耳、話す=口、書く=手、訳すと暗記=頭を鍛えるプログラムが系統的に組まれている。また、生徒それぞれが発声する機会を多く持って、個人のニーズにあった指導がしっかりできるよう、1クラスは3名まで。本気で外国語をマスターさせる仕組みと環境を整えることで、「私のところで学ぶ生徒さんには、挫折無し、伸び悩み無し」と自信を持って生徒と向き合っている。

 

有志者事竟成――志あれば、夢は叶う。

シンガポールでの日系社会も大きくなり、以前と比べると、日本人で当地に永住を決めた人々や日本食のレストランなどが増えて、シンガポール人に日本を広めるコミュニケーションの役割を果たしてきた、と趙さん。一方で、在星の日本人の数は増えたものの、語学力はひとそれぞれで大きな開きがある。「外国で生活している以上、やはり言葉は大事で、主婦であれば日々の生活をスムーズにする程度の、またビジネスパーソンには、不自由なくいい仕事をするための英語や中国語をマスターすることを目指して欲しい。語学力を備えることは、人生の中で可能性という窓を開けてくれるからです。」
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また、日本人家庭の子供たちには、外国に暮らしながらも、母国語として話す、読む、書くことのできる日本語をしっかり学ぶ環境を作ってあげて欲しい、と付け加えた。

 

5才の頃から既に通訳になりたいという夢を持っていたという趙さん。北京第二外国語大學の日本語科を卒業し、通訳の仕事をはじめ、仕事を通じて日本人の伴侶と知り合って結婚、シンガポールへ1993年に移住した。3人の娘の子育てや自営業を手伝う傍らで中国語を教え始め、その後、語学学校をつくりたい、自著を出版したい、などの思いを次々に叶えて来た。そんな趙さんの次なる目標を尋ねると、『本気で学ぶ中国語』の中級編、上級編を出版し、自分の教授法を直接紹介するための講演などを日本で行いたいとのこと。さらに長期的なビジョンの中には、シンガポールにはまだない外国語大学を創立することなども含まれている。「私はこれまでも自分の夢をひとつひとつ叶えてきました。これからもそうなるといいですね」と笑う。エネルギッシュで前向きな趙さんは、夢を叶える力を周囲にまで分け与えてくれる。「他の言語を話せるということは、もうひとつの世界が見えて異文化がわかるということ、つまり、人間の幅が広がるということ。是非良い教材、教授法にそって勉強して自分の目指すレベルに到達して頂ければと思います」と締めくくった。

チャイナリンガスクール
545 Orchard Road  Far East Shopping Centre 238882
TEL:6736-4288
E-mail:singa@chinalingua.edu.sg

545 Orchard Road Far East Shopping Centre 238882

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.158(2009年12月07日発行)」に掲載されたものです。
文=桑島千春

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