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ビジネスインタビュー

2014年3月17日

鉄道系広告会社が「地域のチカラ」を引っ提げて挑む海外ビジネス

株式会社ジェイアール東日本企画・代表取締役社長 小暮和之さん

――東南アジアでの今後の展開はどのようになるのでしょうか。
今年4月にマレーシアでのデジタルサイネージ(電子看板)事業を株式会社ケシオンと共同で展開します。第1弾としてクアラルンプールやジョホールバルなどにあるイオングループのショッピングセンター4ヵ所にデジタルサイネージ機器計30台を設置予定です。地道なビジネスになると思いますが、これを広範囲に展開できるようにしたいですね。それ以外は今のところまだ白紙です。まずはシンガポールでの2回のイベントの総括を行って、この先の展開を検討していきます。

 

――社長に就任されて2年近くとのことですが、広告業について感じられることは。
JR東日本グループは鉄道を中心に、アトレやルミネなどのショッピングセンターやホテル、小売店などさまざまなグループ会社があります。そして、鉄道から一番遠いところにあるのが当社です。鉄道というのは、毎日定刻通りに列車を安全に運行することが使命。マニュアルを作成してきっちり守り、余計なことを考えてはいけません。ところが当社はまったく逆なんですね。以前と同じ提案を持って行くなど論外。常に新しいことを考えて提案していかなければならない点はやはり大変ですね。
社員のタイプもグループ内の他の企業とは少し違うように感じます。当社には多彩な趣味を持つ者が多く、南米の奥地などへ一人で旅行に行く若手社員も珍しくありません。いろんな刺激を受けることは大事ですし、さまざまな経験を持っている人間が社内にいるのは強みですね。
私自身、毎年何か新しいことに挑戦するよう心掛けています。昨年はピアノを始めました。まったくの初心者ですが、今のところ続いています。新しいことに挑戦すると、新しい自分を発見できるのも良いですね。

 

――海外でのビジネスにおいて特に気を付けられていることは。
一番大事なのは適切なリスク管理だと思います。我々が気付かないようなリスクが潜んでいる可能性があるので、そこをいかに限定的なものにするか。「みんなで気を付けましょう」と声をかけるだけでなく、リスクを管理する仕組みを入れることが大事です。このあたりは母体が鉄道会社で、リスク管理に非常にシビアであることも影響しているかもしれませんね。

 

――最後に、アジアエックス読者へのメッセージをお願いします。
JR東日本のことは皆さんご存知でしょうが、ジェイアール東日本企画という会社名にはあまりなじみがない方も多いかと思います。今回の「Japanese Sweets Collection」を通じて知って頂ければ。シンガポールも含め東南アジアでいろんなことをやっていきたいと思っていますので、今後にご期待ください。

小暮 和之(こぐれ かずゆき)

1951年生まれ、群馬県前橋市出身。東京大学法学部卒業後、1976年に日本国有鉄道入社。民営化に伴い1987年東日本旅客鉄道株式会社に入社、財務部長、常務取締役などを経て2008年より東京圏駅ビル開発株式会社(現・株式会社アトレ)代表取締役社長。2012年6月より現職。プライベートでは読書、映画、クラシック音楽、ワインを好み、無類のスイーツ好きでもある。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.253(2014年03月17日発行)」に掲載されたものです。
文=石橋雪江

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