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法律相談

2019年9月25日

Q.シンガポールで国旗を取り扱う際の注意点

Q: シンガポール建国記念日前後で、シンガポール国旗を掲げている住宅が多く見受けられました。一方、シンガポール以外の外国国旗はほとんど見かけませんでした。当地における国旗に関する規制があれば教えてください。

 

A:シンガポール以外の外国国旗を掲げることを禁止するルールとは?
 シンガポールでは、国旗、国歌、紋章などに関するルールが法律や規則で厳格に定められています。例えば、国章表示規制法(The National Emblems Act)は、シンガポール国旗以外の外国国旗を公共の場で掲げる行為を禁止しています。ここでいう「公共の場」とは、公衆が通行又は閲覧可能な場所、すなわち公衆の目に見える場所をいいます。また「掲げる」行為とは、シンガポール国旗を吊るしたり、なびかせたりする行為のみならず、シンガポール国旗の絵を描いたり、印刷したりする行為も含まれます。これに違反した場合、6ヵ月の禁固刑または500Sドル(約3万9,000円)の罰金、もしくはその両方が科される場合があります。

 

シンガポール国旗を掲げる際のルールとは?
 シンガポール政府は、7月初めから9月終わりにかけての建国記念日期間中、国民や企業に対し、各家庭や事務所にシンガポール国旗の掲揚を推奨する通達を出しています。法律上、シンガポール国旗は、国旗掲揚柱に掲げ、夜間は国旗に照明を当てなければなりません。しかし、当該期間中は、上記通達により、その方法が緩和されます。例えば、自動車に国旗を掲げたり、服装の一部にシンガポール国旗を利用したりすることが認められています。外国企業も、シンガポール企業と同様の規制のもと、シンガポールへの友好の印や敬意を込めて、シンガポール国旗を事務所の窓などに掲げることができます。

 

 このように、シンガポール国民や企業のみならず、外国企業も含めて国全体でシンガポールの建国記念日を盛り上げていこうという意図が感じられます。

 

スポーツイベントなどで日本の国旗を掲げることはできる?
 シンガポールでは上記のとおり、シンガポール国旗以外の国旗を掲げる行為が原則として禁止されていますが、例外的に日本の国旗をはじめ、外国国旗を掲げる応援が許される場合があります。具体的には、チケットなどによる競技場への入場制限がかかる場合、競技場は「公共の場」とはみなされず、日本の国旗を掲げて応援することが認められます。もっとも、ひとたび競技場を出ると当然そこは「公共の場」となりますので、試合の勢いそのまま競技場外で日本国旗を掲げる行為は法律違反となります。くれぐれもご注意下さい。

取材協力=ケルビン・チア・パートナーシップ法律事務所 菅谷 伸夫

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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.350(2019年10月1日発行)」に掲載されたものです。

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