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座談会

2019年3月7日

現代女性に”起業”という新しい生き方を提案する – 世界へ羽ばたけ、女性起業家たち

AsiaX:グローバルに活躍していく上での女性像は

 

河野:こちらに来てちょっと驚いたことがあって。今回、とある会社のテクノロジー部門の女性ボスにお会いしたんですが、これが結構強い。怖いと思っちゃうぐらい。こんなにイコール(平等)に働けるんだ、と。日本ではあまり見かけたことがないタイプでした。

 

バルドゥッチ:こちらに来て男女平等とか女性支援とか、そういう言葉を聞かないですよね。(日本は)男女不平等だったのかな?と思うくらい。今回、いろんな事情が重なり子供連れて来ましたが、皆さん快く対応してくれて、辞退せずにこうやって参加出来て本当に感謝です。主婦にとって海外出張はとてもハードルが高いし、夜中にミーティングもあったりする。娘は今、グローバルは当たり前、ママは夜でも働くんだ、という感覚を肌で感じているはず。声高にただがんばろうといっても、こういうメンタリティを変えたり育てていくのにはすごく時間がかかる。子供たちがこういう進歩的な環境の中で育っていって、それが当たり前になるように。そうすれば日本の未来はもっと明るくなると信じています。

 

山村:私は独身で子供もいないし、女性支援の機会を頂いたのは本当によかったなあ、女性でよかったなぁとのんきに思っています。この流れは続いて欲しいです。

 

吉田:国際結婚なんですけど、家事の分担とかの問題がないから(仕事が)できてる。まわりはそういうところがひっかかって仕事をあきらめたり、まして子供がいたらなおさら。マインドの整理、というか、もうちょっと女性も家事をやりすぎずに、男性もできるほうがやればいいよね、というようになればいいな、とずっと思っています。今回、バルドゥッチさんの娘ちゃんと同行して、そこで、それは大変だ、それじゃあどうするとか大騒ぎするんじゃなくて、ああ、そうなんだね、と滞りなく進んでいく様子を見てとてもハッピーでした。子供を連れてでも仕事が出来るという空気作りというか、日本にもっと増えたらいいなと思います。

 

関谷:お手伝いさんつけるのはぜいたくだとか、そういう罪悪感というか、そういう凝り固まった感覚が日本からなくなればいいですね。そもそもフィリピンは子供が多いので、(子連れは)まあいいよという空気がある。誰かの子供が泣いていたらみんなであやす。人前でもおっぱいあげたり。そういうのが日本でも増えればいいなと思っています。子供は働くお母さんの背中を見て育つ!

 

河野:私、先ほどの怖い女性マネージャーがまだ頭に残ってまして・・・。

 

(一同)(笑)

 

河野:これから世代が変わってそういうキャラも出てくるとは思うんですが、今モデルケースがないんで、我々もキャリアのイメージが出来ない、限界があるような気がする。

 

バルドゥッチ:確かにキャリアパスが描けない・・・。

 

山村:どういう感じの女性だったんですか?

 

河野:問題点から先に指摘していく。まったく妥協しない話し方。日本の男性の方が、(問題点や懸念材料を)包むというか空気を読んでくれるというか。でも、グローバルで仕事するとなると、彼女みたいに一番リスクのあることから聞くのがいいのかもしれない。そういうことを女性がやるのはどうなの、という日本ではそういう空気があるから。そういう強い女性の方々の情報がほしいです。

 

AsiaX:世界にどう発信していきたいか。将来への熱き決意とメッセージを。

 

河野:AIの会社はデータが勝負。人の手でデータの整理をする生産工程なので、正確さや細かさなど日本人が得意なことを意識しつつ、かつて製造業で日本が発展したように生産効率化してビジネスを広げていきたい。その際に(日本の)アイデンティティーの確立が必要だとつくづく感じています。賛同してもらえる人に(会社へ)入ってほしいです。

 

バルドゥッチ:メイドインジャパンだから高品質は一昔前のこと。そこにどう革新を入れてくか。シンガポールは中国本土から来た女性たちが建設現場で一生懸命働いたりして作られた国と聞きました。私やブランドが「日本の資源」だという想いでがんばりたいです。

 

吉田:日本だからクリエイティブとか日本のデザインとかそれだけじゃ響かないと感じました。ストーリーラインだったり、実際の効果や機能もフィットさせなきゃいけないと。精度や真剣さなどモノづくりに対する厳しさとかはやはり日本ならではだと思うので、その良さを伝えてい
きたいです。

 

山村:そこに何があるのか、モノの背景、「ストーリー」を継続的に伝えていく。海外の人に販売をしていくにあたって、日本を知ってもらってより好きになっていただけて、お互いにいい感情が生まれたら素敵ですよね。

 

関谷:フィリピンとかデザインとか何にも言わなくても売れるのがベストだけれど、マーケティング、ブランディングも大切。バランスを見据えていきたいと思っています。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.343(2019年3月1日発行)」に掲載されたものです。(聞き手:内藤剛志/編集:野本寿子/写真:有限責任監査法人トーマツ 只野義典)

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