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会計・税務相談

2018年12月30日

Q.2019年から新しく適用されるリースの会計基準について教えてください。

新リース会計における借手の会計処理

2019年1月1日以後に開始される会計年度についてリースの会計基準が改正され、特に借手の会計処理に大きな変更がありました。

 リース取引は、大きく2つの種類に分類され、そのうち資産の所有権に付随する経済的利益および危険負担のほぼ全てが借手に移転されるリースをファイナンス・リース、それ以外のリースをオペレーティング・リースと言います。
 これまでの会計基準では、借手・貸手それぞれについて、リース取引がファイナンス・リースかオペレーティング・リースかによって別々の会計処理の方法が定められており、オペレーティング・リースの場合、借手は支払ったリース料を費用として損益計算書に計上するだけで済みました。
 新しい会計基準では、借手はオペレーティング・リースかファイナンス・リースかを区別することなく、全てのリース取引についてこれまでのファイナンス・リースとほぼ同じような処理、すなわちリース開始日に「リース負債」と「使用権資産」の価値を算定して貸借対照表に計上することになります。

 

Q:「リース負債」と「使用権資産」の価値は、どのようにして算定したらよいのでしょうか。

A: 「リース負債」は、リース開始日においてまだ支払っていないリース料の総額の現在価値になります。現在価値とは、将来支払うリース料について、支払いまでの期間の金利を考慮に入れて現在の金銭価値に置き換えた金額を指します。会計基準では、リース料の算定に使用された利息率が容易にわかる場合には、それを現在価値を算出するための割引率として使用することとしています。「使用権資産」は、前述のリース負債に加え、リース開始日までに支払済のリース料、その他の直接費用、現状復帰費用の見積もりを合計した金額になります。

 

Q:リース負債と使用権資産を貸借対照表に計上した後は、どのような会計処理を行うのでしょうか。

A: 使用権資産は、固定資産などと同じようにリース期間に亘り減価償却します。リース負債については、支払ったリース料を差し引く一方で、当該支払リース料のうち金利相当分について使用する割引率で割り戻し、支払利息として損益計算書に計上します。

 

Q:どうして、このような改正が為されたのでしょうか。

A: 借手の決算書において、オペレーティング・リースの契約の全体像、特に途中解約不能契約により将来の支払いが義務づけられている債務がよりわかりやすく表示されることを目的としています。これまでの会計基準でも、途中解約不能なオペレーティング・リースについては、財務諸表の注記に将来支払わなければならないリース料の総額を開示することが義務づけられていましたが、それでは不十分だという判断になったのでしょう。

 

Q:なかなか複雑な会計処理のようですが、適用を免除してもらうことはできますか。

A: 下記に該当する場合には、適用除外を選択することが認められています。
①リース期間が12ヵ月以下の短期リース契約
ただし、本会計基準における「リース期間」は、借手が当該リース資産を使用できる途中解約不能な期間を指し、その中には借手が延長オプションを行使することや早期解約オプションを行使しないことが合理的に確実な場合、それらの期間もリース期間に含めなければなりません。
②少額のリース取引
少額とされる金額の基準は明記されていませんが、新品の時の価格で概ねUS$5,000以下と考えられており、事務所で使用するタブレットやパーソナルコンピューター、電話機、小物家具などがその対象として想定されています。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別のケースについて正式な助言をするものではありません。本記事内の情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.341(2019年1月1日発行)」に掲載されたものです。

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