レビューアプリ「ChatTee」であらゆる経験に価値を　暗号通貨TEE-Coinが繋ぐ飲食店と生活者の未来

　ホーカーやフードコートから高級レストランまで、多国籍・多文化かつ様々なスタイルの飲食店が数多立ち並ぶシンガポール。各店間の競争は熾烈で、入れ替わりも急だ。一方で「どこに入ろうか」と思案した経験は、誰しも一度ならずあるだろう。そんなシンガポールに来年1月5日、飲食店と生活者それぞれに変革をもたらす可能性を秘めたアプリが登場する。今年1月に設立されたTEE-Coin社が開発する「ChatTee」（チャッティー）だ。

　「ChatTee」は、レビューのまとめサイトと暗号通貨を組み合わせたサービス。飲食店の利用者は訪れたお店についての評価を書き込むことで、報酬としてTEE-Coinを受け取る。TEE-Coinは食事代金の支払いなどに充てることができ、飲食店は広告料の支払いなどに使うこともできる。「レビューのまとめサイトはたくさんあります。しかし、レビューを書いたことがほとんどない、全くないという人も意外に多いのではないでしょうか？要因は様々考えられますが、レビューを書く動機付けが弱かった面があると思います。TEE-Coinは“Thank you for sharing your Explorations and Experiences”の頭文字を取ったもので、文字通りあなたが残した探求と経験を『ChatTee』でシェアすることにより生み出される新しい暗号通貨です。レビューを残すと暗号通貨という形で報酬が発生するという点が、これまでのサイトと『ChatTee』の大きな違いです。レビューを“ありがとう”という気持ちが価値になって使えるようになればと考え企画しました」とTEE-Coin社を設立したテリー伊藤氏。飲食店、利用者、TEE-Coin社間のTEE-Coinの流れを作り、TEE-Coinを軸に集まるオフライン、オンライン情報を収集・分析することにより、新たな可能性を作り出す。

レビュー内容の信頼性を確保　飲食店の集客を改善

レビューのまとめサイト運営における最重要課題の一つとして、内容の信頼性をどう担保し、いかにサイト自体の信頼性を向上させていくかがある。飲食店を訪れたことがない人でも、レビューそのものを書くことは可能であり、実際、日本国内ではアクセス数を上げる目的の真偽不明、無責任な内容のレビューが氾濫していた一部サイトが社会問題化し、閉鎖に追い込まれたことは記憶に新しい。この課題に対する『ChatTee』の答えは明瞭だ。レビューの筆者とその位置情報を照合、傾向等を分析し、確度の高い情報にバッヂを張り明示していく。
一方、ブロックチェーン技術で繋った飲食店とユーザーに対しては、これまでにない新しいサービスの提供が可能になる。例えば、利用者の現在地、嗜好、状況等に応じたクーポンをタイムリーに送ることなども容易だ。あるいは、一度来店したものの、リピーターにはならなかったユーザーのレビュー等を分析することで、その原因を突き止めるとともに集客改善に役立てることもできる。「それぞれの経験価値を無駄にしたくありませんし、その価値を高めていきたいですね」と伊藤氏は笑顔を見せる。

あらゆる分野のレビューにTEE-Coinを

現在、ベトナムでTEE-Coin開発の最終仕上げに取り掛かっている同社。「Bitcoinなどの暗号通貨は決済完了までに10分程度要しますが、TEE-Coinはわずか3秒です。待ち時間はありません。日常でスムースに使うことができます」と伊藤氏。アプリは、英語・中国語・日本語に対応しており、シンガポール、香港、日本で同時リリースした後、翌2020年には早速シンガポール周辺の東南アジア各国にも展開する予定だ。自動翻訳機能によって各国のユーザーが母国語で書き込んだり、読めるようになるという。「この業界はスピードが命です。将来的にはあらゆる分野のコンテンツやサービスに対するレビューとTEE-Coinを結びつけたいですね」と意気込む。