シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP最終回 査定方法への誤解

人事評価制度 海外の日系企業"7つの誤解"

2018年9月29日

最終回 査定方法への誤解

皆様の会社では、毎年の昇給はどのようなやり方で決定していますか?
国内の昇給率をベースにして、日本本社と鉛筆をなめて査定をしている。その結果、社員の給与はほぼ一律で上がっていき、ポジションが同じ社員間であまり差がついていない。そんな、「日本式」の年功給に近いやり方を、いまだに行なっている日系企業は少なくないのではないでしょうか。

 

 

シンガポールの就職人気企業TOP100というデータにおいて、日系企業はここ数年で1社もランクインしていないという結果になっています。その要因には「日系企業は年功序列のため頑張っても差がつかない」というイメージを求職者に持たれており、優秀な人材ほど若いうちから責任を持たせてもらい、裁量権限のあるグローバル企業へ流れてしまっているといった状況があります。

 

 

シンガポール政府の動向も踏まえると、ナショナルスタッフは組織運営に欠かせない存在です。今後、優秀な人材の獲得競争に勝ち、長く働いてもらうためには、勇気を持って日本式のやり方から脱却(脱年功給)していかなければなりません。

 

 

「脱年功給」を提唱すると、「組織風土が乱れる」と懸念する声を頂くこともありますが、その際は「声なき声に耳を傾けて欲しい」とお伝えしています。今、声が聞こえるのは、年功給の体制に慣れている社員の声であり、頑張りと給与の連動が無いから辞めてしまった社員の声ではありません。その声に応え、現地法人が強く成長していくために、処遇の柔軟性を持った賃金制度にすることは必要なのです。

 

日本国内においては脱年功給を実現している企業の方が、労働生産性が高いという経済産業省のレポートもあります。会社の業績と社員の評価を一致させる制度を作り、成果に応じた処遇反映を行なっていけば、優秀な人材は必ず定着していきます。そこにエネルギーをかけることが、これから日系企業が海外での人材獲得競争に勝ち抜き、成長していくための経営戦略の根幹としていくべきことなのです。

 

著者プロフィール
あしたのチームシンガポール
Sales Manager
吉野 智也

青山学院大学経済学部卒業後、大手商社で法人営業、電子決済事業、コンテンツ事業など多岐に渡る業務に従事。2016年あしたのチームに入社。本社営業推進部を経て、台湾法人「明日之團股份有限公司」に配属。2018年シンガポール法人「Tomorrow‘s Team Singapore Pte Ltd」のSales Managerに就任。営業から制度構築、運用支援全般まで一気通貫で携わり、これまで国内・海外の日系企業100社以上を請け負う。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.338(2018年10月1日発行)」に掲載されたものです。

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