Webマーケティング& 対面キャリアカウンセリングでマッチング シンガポールに初の海外営業拠点 アジア展開の第一歩踏み出す

2005年創業の人材紹介会社レバレジーズが同社初の海外営業拠点として、シンガポールに子会社Leverages Career Singaporeを設立、8月1日から営業を開始した。国籍・ポジションを問わず、日本語スピーカーと、彼らを求める企業とのマッチングを軸に、求職者・採用企業・同社間のWin-Win-Winの関係を追求していく。昨年8月に人材サービス事業の成長戦略の柱として海外展開を正式に決めた同社。以来、アジアを中心に情勢分析・比較検討、現地視察を担当し、シンガポール進出を主導した熊澤氏は「今後、アジア展開を加速させていくうえで、中・長期的に見てもシンガポールに事業基盤をつくることが重要と判断した」とその狙いを説明。「人材サービス会社に対して最も不満が表れるのは紹介した人材がすぐに辞めてしまった場合です。後発の当社が日本国内で事業を拡大できたのは、専門分野に特化して、マッチングの精度を高め続けてきたからだと思っています。シンガポールでもマッチングの質を徹底的に追求したいです」と意気込みを語る。既に、シンガポール国内はもちろん、周辺国在住のシンガポール就労希望者の登録も増えてきていると言い、注目の高さが窺われる。将来的にはシンガポールを足掛かりに、5年以内に海外25ヵ所に拠点をつくり、現地事業に加え拠点間のクロスボーダーでのサービス展開を見据えている。

グループのWebマーケティングノウハウを駆使

社員の給与水準、転職意欲が周辺国に比べ際立って高いことなどを背景に、日系、外資系とも人材サービス企業がひしめくシンガポール。近年、日本人を含む外国人によるEP取得の難化、またシンガポール人日本語学習者の減少傾向が言われるなか、シンガポール人、シンガポールPRの日本語スピーカーの需要は高まるばかり。こうした状況下、同社最大の強みがWebマーケティングを駆使した求職者の集客だという。「当社ではこれまで、自社でマーケターを育成し、スキル、ノウハウを蓄積する方針で取り組んできました。シンガポールで十分にWebマーケティングを活用できている人材紹介会社は多くなく、知識をつければ一朝一夕で真似できるということでもありません。当社は他エージェントとは異なるチャネルで求職者にリーチする仕組みを持っているので、新しい会社ながら、他社とは違った求職者を紹介できると思っています」と熊澤氏。まずは年内に700人の登録を目標に掲げているが、「まだ１ヵ月余りながら、求職登録者数は順調に増加しており、手応えを感じています」と胸を張る。
一方で、「一般的にシンガポール人に日系企業は人気がない」とシンガポールならではの課題も認識している。要因は給与水準、労働環境、企業文化など。「日系企業にも柔軟な姿勢が必要だと思いますが、日系企業イコール厳しいというイメージが極端にステレオタイプ化しているという印象の方が強い。実態を正確に伝えることで、イメージが改善する余地は大きい」と見る。

職場定着に向け入社後もサポート

スタートアップ企業が集まるシェアオフィスに事務所を構える同社。フロアのエントランススペースは、多国籍の起業家たちがそれぞれのビジネスについてリラックスした様子で意見を交わしていて和やかな雰囲気が漂う。「刺激になりますよ」と笑顔を見せる熊澤氏は、半年以内にコンサルタント5人を採用する計画を立てているという。「Webの力を借りても、最終的にマッチングを実現するのは人間の力です。対面でのキャリアカウンセリングを徹底し、経歴書に表れない、求職者の本音を聞くことを積み重ねることで、精度の低い紹介を減らすことができると思っています」。さらに日本本社に倣い、就職後のフォローも徹底するという。「フォローのノウハウ、経験も蓄積しているので、陰ながら、新社員と企業が良い関係を築けるようアドバイスしたいです」と力強く話す。