シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第6回 仮想通貨での資産運用方法について

仮想通貨入門講座

2018年7月29日

第6回 仮想通貨での資産運用方法について

仮想通貨やブロックチェーン技術が将来的に世の中を変えうるテクノロジーであるということは、非常に楽しみなことではありますが、多くの読者の方にとっては、

 

「今後仮想通貨の投資価値が上がっていくのか?」
「どの仮想通貨が上がるのか?」
「仮想通貨で稼ぐためにはどのような資産運用方法があるのか?」

 

といったことの方が当面関心を持たれていることでしょう。
そこで今回は、仮想通貨で稼ぐためにはどのような手法が有効なのか解説していきます。

 

資産運用の基本!ドルコスト平均法

仮想通貨での資産運用方法と言いましたが、資産運用方法に仮想通貨特有のものは実はあまり多くありません。株式であれFXであれ、原理原則は同じと考えて良いと思います。

 

資産運用には短期間で稼ぐ方法と中長期間で稼ぐ方法がありますが、リスクをできる限り抑え、安定的な資産成長を狙う場合は積立での投資を推奨します。読者の皆さんも積立投資という言葉は聞かれたことがあるかもしれませんね。

 

積立投資の方法として有名なのが「ドルコスト平均法」です。ドルコスト平均法とは「毎月一定の金額ずつ購入することで、毎月一定の数量ずつ購入する場合より有利な取得価額に分散できる手法」のことを言います。

 

ドルコスト平均法を用いた投資によるメリットについては以下が挙げられます。
数量ベースの取引と比較して、平均の取得価額が安くなりやすい。
購入金額が決まっているので、“高値掴み”のリスクが低くなる。
相場状況に関わらず投資する手法のため、投資者側のメンタルが安定する。

 

文章では少しわかりづらいと思いますので、イラストも併せて参照してみましょう。

 

 

この図は投資信託での積立投資の例で、毎月1万円ずつ購入した場合(一定金額)と、毎月1万口ずつ購入した場合(一定数量)のシミュレーションです。拠出額は同じ50,000円ですが、ドルコスト平均法を用いた場合に平均購入単価が安くなっていることがわかります。本来積立投資は5ヵ月という短期間でなく、数年・数十年に渡り投資するものですので、平均購入単価が低くなれば資産評価額に大きな違いが出ることになります。

 

もちろんドルコスト平均法が万能というわけではありません。ドルコスト平均法の考えうるデメリットしては、一方向に値段が上昇したり、下降したりする場合は利益幅が少なくなる、かえって含み損が大きくなる場合もあります。ただし、価格推移は、ある局面で大きく下落した場合でも、時間とともに回復していくことも多くあります。

 

例えば、2008年のリーマンショックで日経平均株価が大きく下落しましたが、現在は当時の経済危機前の株価を大きく超えた水準で推移しています。

 

 

上記の図表は1970年から現在に至るチャートを示していますので、リーマンショック以外にもバブル崩壊時の推移も確認できます。

 

ここで確認していただきたいことは、価格が下落した場合でも中長期で見ると反発するケースが多いため、ドルコスト平均法のメリットを享受しやすい、ということです。また、高値であった場合でもドルコスト平均法は一定の金額で購入するため、高値で多く購入するリスクを回避できることもできます。下落時には多くの口数を購入できるため、その後、上昇局面となった場合に資産成長を促進できる、ということになります。

 

ここでは日経平均を用いて解説しましたが、株だけでなく仮想通貨でももちろんドルコスト平均法が活用できます。

 

仮想通貨の場合は値動きも大きく、直近は値段が落ち着いたタイミングですが、これまでの連載で解説した通り、中長期でみると仮想通貨が成長していく可能性は高いと考えていますので、ドルコスト平均法は仮想通貨投資における有力な選択肢のひとつではないでしょうか?

 

今回は資産運用方法として、ドルコスト平均法での積立投資の話をしました。積立投資はメリットが多いのでもちろん推奨できるのですが、中長期での投資がメインとなってしまいますので、短期間での利益確保を狙うことには向いていません。

 

そこで次回は、仮想通貨の資産運用方法として他にどのような方法があるのか、さらに解説していきたいと思います。それではまた次回をお楽しみに。

著者プロフィール
三方 麻琴
M&R Partners Ptd. Ltd.
マネージングダイレクター
鹿児島県出身。株式会社サイバーエージェントFXの法務・コンプライアンス担当を経て、2009年3月に独立。独自で資産運用・トレーディングを学び、ファンド会社運営などを経て、現在は、アメリカ株式、日本株式、FX、CFDの自己勘定トレーディングを行っている。また、資産運用・トレーディングの知識および情報の普及にも力を注ぐ。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.336(2018年8月1日発行)」に掲載されたものです。

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