2018年5月25日
第4回 仮想通貨はビットコインだけじゃない!『アルトコイン』の特徴
前回、前々回と、仮想通貨の元祖であるビットコインの歴史と特徴についてお話ししました。
ビットコインが仮想通貨の代名詞のようになっていますが、仮想通貨はビットコインだけではなく、他にも数多くの仮想通貨があります。ビットコイン以外の仮想通貨を総称して、『アルトコイン』と呼びます。
今回はこのアルトコインについて、特に有名なものを例に挙げつつ、その特徴をお伝えしたいと思います。
そもそもアルトコインって何?
アルトコインとは、“ビットコイン以外の仮想通貨の総称”と説明しました。
ビットコインがブロックチェーンの仕組みを利用し、革新的な通貨であることは既にお伝えしましたが、アルトコインもビットコインと同様にブロックチェーン技術を利用した通貨で、現時点でも数千種類のコインが発行されています。現在も日々新しいアルトコインが生まれています。
これだけ多くの仮想通貨が日々生まれている背景としては、本家であるビットコインの開発プログラムが公開されていることが挙げられます。つまり、技術力のあるプログラマーであれば、ビットコインの特徴は継承しつつ、ビットコインが持っていない(もしくは足りていない)特徴を補完した新しい仮想通貨を作ることが可能ということです。
実際に、多くのアルトコインは何かしらの“尖った”特徴を持っていることが多く、有力アルトコインである「イーサリアム(ETH)」や「リップル(XRP)」などはビットコインに負けず劣らずの地位を確立しつつあります(仮想通貨名の後のカッコ内は取引所などで使用されるティッカーシンボルです。以下同じ)。ただし一部には、開発者の遊び心で作った全く特徴のないアルトコインも存在します。
アルトコインのメリットとデメリット
メリット
アルトコインのメリットに関しては前述の通り、ビットコインが持っていない特徴を持ち合わせていることです。
例えば、イーサリアム(ETH)の場合、「スマートコントラクト」というブロックチェーン上で契約を実行する仕組みを持っており、「dApps」と呼ばれるアプリを作ったり、「ICO」と呼ばれる仮想通貨での資金調達に使われたりします(ICOについては、別の回で詳しく説明します)。
また、リップル(XRP)は、多くの仮想通貨が国家や中央銀行のような中央集権的な管理者を設けないことを良さとしているのに対して、「リップル社」という一企業が開発しています。その点でビットコインをはじめとする、他の仮想通貨のコミュニティと対立することもあるのですが、送金機能が優れており、従来の銀行システムと比べても格段の送金スピードと手数料の削減を実現しています。ゆえに、国内外の有名金融機関がこぞって、リップルの技術を取り入れようという動きがあります。
他にも、ビットコインとは違った特徴を持ち合わせている「ビットコインキャッシュ(BCH)」や「ネム(XEM)」といった仮想通貨などもあり、それぞれに適った用途で利用される取り組みが進んでいます。
当然ながら、これらの通貨が評価されると、価値が大きく上昇する可能性があります。
デメリット
それぞれの特徴があるというメリットがある一方、デメリットも当然あります。
イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)などの有名アルトコインは、ビットコインに匹敵する知名度や取引量があるため、リスクに関してはビットコインと大きな違いはありませんが、知名度の低いアルトコインの場合、取引量が少ないために、仮想通貨の売買を一気に大量にはできなかったり(もしくは多くの売買をしようとすると値段が大きく動きすぎてしまう)、その仮想通貨が全く使えないと判断された時などに価値が著しく毀損するリスクがあります。
知名度や取引量の判断材料としては「CoinMarketCap(coinmarketcap.com)」など<仮想通貨の時価総額ランキングがさまざまなウェブサイトに掲載されていますので、参照してみてください。
投資対象としてはどうなのか?
ブロックチェーン技術や、それぞれの通貨が持っている特徴など、技術的な要素も基本的な知識に関してはぜひ知ってもらいたいことではあります。
ただその一方で、多くの方にとって関心が高いのは、“仮想通貨が投資対象として有望なのか?”ということではないでしょうか。
次回は、“ビットコインやアルトコインが実際にどのような値動きをしているのか?”“今後も上がっていく可能性があるのか?”などについて、実例を挙げながら、お役に立つお話をしたいと思います。
それでは次回もお楽しみに!
著者プロフィール
三方 麻琴
M&R Partners Ptd. Ltd.
マネージングダイレクター
鹿児島県出身。株式会社サイバーエージェントFXの法務・コンプライアンス担当を経て、2009年3月に独立。独自で資産運用・トレーディングを学び、ファンド会社運営などを経て、現在は、アメリカ株式、日本株式、FX、CFDの自己勘定トレーディングを行っている。また、資産運用・トレーディングの知識および情報の普及にも力を注ぐ。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.334(2018年6月1日発行)」に掲載されたものです。