シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第3回 元祖仮想通貨!ビットコインの特徴

仮想通貨入門講座

2018年4月26日

第3回 元祖仮想通貨!ビットコインの特徴

前回は仮想通貨の中でも元祖と言えるビットコインの歴史について、時系列で振り返りました。今回も引き続きビットコインをテーマに、その特徴についてお話しします。

 

ビットコインの特徴

本連載第1回「仮想通貨とは何か」でもお話ししましたが、ビットコインは、国家・中央銀行といった管理者がおらず、非中央集権的な仕組みを構築した通貨です。数多く発行されている仮想通貨の中で最初に開発され、2018年4月初めの時点で時価総額が最も高い通貨(約12兆7,000億円)になっています。また、ブロックチェーン技術を用いることで法定通貨にはない特徴を備えています。

 

法定通貨の発行者は国家や中央銀行ですが、ビットコインの発行元は不特定多数の人となります。このビットコインの発行作業のことを「マイニング」と呼びます。

 

マイニングではまず、ビットコインで取引が行われた際にその取引内容をブロックチェーン(ビットコインの取引を全てメモしたもの)に記録します。その記録作業を行う人は「マイナー」と呼ばれ、報酬としてビットコインを得ます。全てのビットコインによる取引記録を、複数のマイナーが報酬を対価に確認・検証を行うことにより、国家や中央銀行に代わって改ざんを防ぐ仕組みになっています

 

ちなみに、マイニングという名称は、資源獲得を競う作業が金の採掘と類似していることから名付けられました。基本的には法定通貨の方が、国家が価値を裏付けしている分、信用力は高いのですが、ビットコインはテクノロジーの力によって信用性をつくっています。アルゼンチンやジンバブエのような法定通貨の信用性が低い国の通貨と比較した場合、むしろビットコインの方が“信用性がある”とみなされることもあります。

 

ビットコインの発行量

ビットコインに関しては上限発行通貨数が予め2,100万枚と決められており、国家の金融政策の影響を受けません。ニュースで金融緩和という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、これは法定通貨の発行上限が決められていないからこそ可能な政策です。上限発行通貨数が定められているということは、需給調整が難しくなる可能性があるといった懸念もありますが、ビットコインにとっては価値の安定につながる、一つのメリットとなっています。

 

ビットコインの額面

ビットコインは「1BTC」が最小単位と誤解されがちですが、実は0.1BTCなどと小数点以下の単位で取引することが可能です。今のところ、ビットコインの最小単位は1BTCの1億分の1、0.00000001BTCとなっています。このため、少額でも送金・決済が可能で、使い勝手が良いと言えます。なお、0.00000001BTCという最小単位は“1Satoshi(サトシ)”とも呼ばれています。名称の由来は、ビットコインの生みの親「ナカモトサトシ」です。

 

ビットコインの送金

これまでに海外送金を利用したことがある方もいると思いますが、海外への銀行送金は、着金まで数日かかり、かつ手数料も非常に高いと感じられたのではないでしょうか?

 

ビットコインの最も特徴的なところは、送金時のメリットです。前述の通りブロックチェーン技術を利用する事でビットコインアドレス(ウォレットと呼ばれるお財布のようなもの)さえ持っていれば、“世界中の誰にでも”“24時間365日即時に”“低コスト”で送金が可能となります。

 

銀行送金の場合、「コルレス銀行(Correspondent Bank)」と呼ばれる中継銀行を経由する必要があり、銀行の営業時間外は手続きが止まってしまうため、着金までかなり時間がかかってしまう可能性があります。

 

ビットコインの場合、中継銀行を介さずにダイレクトで送金されるため、多少の遅れが起こることもありますが、概ね数分~数時間以内には送金から着金まで完了します。ビットコインの価格変動リスクは当然あるものの、すぐに海外へ送金したい時などは非常に有用な送金手段となります。

 

ビットコインのネットワークシステム

ビットコインはP2P(peer to peer)というネットワークシステムを採用しており、外部からの攻撃に強く、中央集権型のシステムのようなサーバーのダウンによるサービス停止といった心配がないことも長所となります。また、匿名性が高いという特徴も兼ね備えていることから、プライバシー保護などリスク管理にも有用です。

 

ビットコインの用途、入手方法

前述の通り、通貨の性質を持っていることから決済手段、送金手段として利用され始めていますが、現状では、投資対象としての側面が強くなっています

 

入手方法については、相手方から送金してもらう他に、仮想通貨取引所で購入することが可能です。シンガポールではCoinhako、Coinbaseなどがあります。日本ではbitFlyer、Zaifなどが有名です。

 

 

ビットコインはまだまだ黎明期

2回に分けてビットコインの歴史と特徴についてお話ししましたが、まだまだ黎明期であることから、メリットの反面、“価格変動が大きすぎる”“決済できる企業が少ない”“技術的に改善の余地がある”などデメリットもあります。ただ、早い段階からビットコインの仕組み、有用性を理解することで投資対象としてはもちろん、生活の利便性を劇的に向上させることが可能です。これを機にビットコインなど仮想通貨に触れてみてはいかがでしょうか?

 

次回は「アルトコイン」と呼ばれるビットコイン以外の仮想通貨の特徴について、主要なアルトコインを例に挙げつつお話しします。お楽しみに!

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.333(2018年5月1日発行)」に掲載されたものです。

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