シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第4回 東南アジアの不動産投資、今するべき?

REAL ESTATE in SOUTH EAST ASIA REPORT

2018年3月29日

第4回 東南アジアの不動産投資、今するべき?

ベトナム 〜ホテル編〜

2018年2月の旧正月(ベトナム語でTet)に多くの観光客を迎えたベトナム。外国直接投資の伸びやビザの緩和を背景に、2017年における外国人観光客数は年間約1,300万人(前年比約30%増)に達し、最高記録を更新した。中国と韓国と日本からの観光客で約56%を占め、台湾、ロシアが続いている。

 

 

北のハノイと南のホーチミンを比較すると、ハノイのアッパーグレード(3~5星)の客室数が約1万室に対してホーチミンは約2万室。ハノイは経済規模が小さいので投資リスクは高いように思っていたが、ホテルデータプロバイダーSTRによると、昨年は90%超の稼働率を記録した日が121日に上ったとのこと。当然のことながら、平均客室単価は約2割~3割ホーチミンを上回っている。訪越客数の伸びに比べ、客室の新規供給のスピードが遅いハノイでは、ここ5年で約3,400室の供給、今後5年も同ペースでの供給予定である。供給過剰による客室単価の下落というストーリーは考えにくく、政府による観光業界の後押しを背景に、ハノイのホテル投資にとって恵まれた環境となっている。

 

一方、2018年は外国人と国内観光客とで3,300万人に達するとされているホーチミンでは、観光客の伸びを遥かに上回るハイスピードでの供給が続いているため、全体の稼働率は芳しくない。Colliers Internationalによると、2018年は5つ星ホテルの平均稼働率は約61%、4つ星ホテルは約65%に留まり、2015年からの稼働率への下げ圧力は2021年まで続くと予測されている。

 

それでも、ホーチミンのホテル投資は日本より魅力的だ。ホーチミンで稼働率60%を超えれば、投資リターンの原資となる粗利益率が50%に達するからである。日本のビジネスホテルで、いろいろ削って粗利益率25~35%を達成。人件費の高さや人材不足の問題が大きく影響している。ちなみに、ベトナムは、不動産投資利回りは6~7%、日本は4~5%、比べるとベトナムのホテル投資は魅力的なものである。

 

ベトナムへの世界ブランドのホテル参入が加速し、アッパーグレード層の競争は激化しているが、このクラスのホテルオープンは観光客や投資家を引き寄せる。また、政府はアッパーグレード以外の観光客を呼び込む計画も推進しており、経済成長とともに国内観光客数の高い伸びが期待できることも考えると、しばらくはベトナムのホテル業界から目が離せない

プロフィール

浅野 美穂(あさの みほ)

大和不動産鑑定シンガポール現地代表・大和不動産鑑定株式会社執行役員・不動産鑑定士(日本)・MRICS・再開発プランナー(日本)
愛知県生まれ。上智大学法学部卒、マンションディベロッパーを経て不動産鑑定業界へ。2000年(平成12年)鑑定士登録。趣味は家族との海外旅行。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.332(2018年4月1日発行)」に掲載されたものです。

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