シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第3回 軽・小型トラックは インドネシア経済・物流の影の主役

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2018年2月1日

第3回 軽・小型トラックは インドネシア経済・物流の影の主役

100万台のインドネシア自動車新車市場。富裕層の日常の足としての乗用車と同様にビジネスに使われる商用トラックが大きな存在感を発揮しています。広大な国土に豊富な資源、まだまだ高速道路網が未熟なインドネシアでは、どんな使用環境でもモノが運べる軽トラックやバン、小型トラックが経済・物流の影の主役となっています。

 

日本にも輸出される
インドネシア製の軽トラック・バン

「商用車」という定義は国によって微妙に異なるのですが、ここでは主として「モノを運んでビジネスを行うための生産財」を商用車としましょう。

 

この商用車の市場は景気の変動に過敏に反応するため増減は激しいものの、インドネシアの100万台新車市場の約30%を占めており、他の周辺国と比較しても大変高い比率となっています。

 

インドネシア全土に点在する都市や農村で至る所に見られる日本の軽自動車のような小さなトラックやバン。狭くて悪い道路環境でも日用雑貨や食品や農産物を運搬することができ、中小のビジネスには欠かせない存在となっています。

 

このクラスの小さなトラックやバンは、ダイハツ、スズキ、三菱がインドネシアの環境に合わせて設計したインドネシア専用の商用車とも言えるモデルです。全体での現地生産量は年間約10万台。ダイハツが生産しているこのクラスのチャンピオンである「グランマックス」というモデルは日本にも輸出され、トヨタブランドを付けて日本の町角、特に商店街などで活躍しています。

 

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ダイハツのドル箱『グランマックス』

タイのデファクト・スタンダードとも言えるピックアップトラックもインドネシアに輸入され、販売されてはいますが、価格が高く商用用途も限定され、あまり売れていないのが現実です。

 

小型トラックの底力

商用車の第二の主役は、少し大きいキャビンを持った小型トラック。荷台も十分広く3000〜4000CCの商用車用エンジンを搭載しています。

 

大都市から地方都市に向かって車を走らせると、荷物を満載した黄色いキャビンのトラックやパーム椰子や砂・岩などの重量物、時には人も満載した赤や緑のキャビンのトラックに出くわします。

 

広大な国土に多くの鉱物資源やパームやカカオなど農業生産品を有するインドネシア。限定されたエリアでの物流ニーズも中長距離輸送もこなし、重量物やカサモノ輸送などさまざまな輸送ニーズにも対応しているのがこの小型トラックなのです。高速道路を始めとする道路インフラが劣悪なインドネシアでは、一定量の荷物を積んで泥だらけの道路から舗装路までを走破し、都市の中心部へも入っていけるこのトラック。バスや冷凍車などへの架装も可能で大企業から自営業者まで幅広いビジネスユーザー層の支持を何十年にも渡って得てきています。

 

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インドネシアのトラック野郎たちが愛する小型トラック

 

三菱ふそうの『コルト・ディーゼル』がチャンピオン

この小型トラックのメインプレーヤーは、三菱ふそうの『キャンター』、いすゞの『エルフ』、日野/トヨタの『デュトロ/ダイナ(兄弟車)』で、年間の販売は全体で6万台。ホームカントリーの日本市場が低迷する中、トラックメーカーにとってインドネシアは大変ありがたい市場と言えるでしょう。なかでも三菱ふそうの『キャンター』はインドネシアでは『コルト・ディーゼル』と呼ばれ、企業や個人のビジネス用途のトラックとして絶大な人気を誇っています。1975年の発売以来100万台もの販売累計を達成しており、昨年のクラス市場シェアは60%と他モデルを大きく引き離しています。

 

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コルト・ディーゼルの累計100万台記念車

自動車業界では華やかな乗用車部門が何かにつけ話題に登り、日本国内でも商用車は大変マイナーな存在なのですが、インドネシアの商用車はまだまだ経済や産業に占める役割の大きいメインプレーヤーです。出張時に道路上に目を凝らしてみると、新しい気づきがあるかもしれませんね。

プロフィール

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藤井 真治(ふじい しんじ)

(株)APスターコンサルティング
アジア企業戦略コンサルタント&アセアンビジネス・プロデューサー

自動車メーカーの広報部門、海外部門、新規事業部門経験30年以上。インドネシア/香港現地法人トップとして海外での企業マネジメント経験12年。その経験と人脈を生かしインドネシアをはじめとするアセアン&アジアへの進出企業や事業拡大企業を支援中。自動車の製造、販売、アフター、中古車関係から IT業界まで幅広いお客様のご相談に応えます。『現地現物現実』を重視し、クライアントと一緒に汗をかくことがポリシー。
Website: www.ap-star.jp  E-mail: fujii258@gmail.com

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.330(2018年2月1日発行)」に掲載されたものです。

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