シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第2回 東南アジアの不動産投資、今するべき?

REAL ESTATE in SOUTH EAST ASIA REPORT

2018年1月28日

第2回 東南アジアの不動産投資、今するべき?

シンガポール 〜ショップハウス編〜

シンガポールと日本の不動産の間に違う点はたくさんがあるが、オレンジ色の屋根が輝く伝統的な建物、ショップハウスの取引市場での存在感もその1つである。大型でスタイリッシュなビルがガンガン建ちあがる都心で、古びた建物にも歴史的価値だけでなく、投資用不動産としての人気が高いことを初めて知った時は驚いた。

 

ショップハウスとは、その名の通り店舗付住宅のこと。2〜3階建の連棟式建築であり、1840年代から1960年代にかけて建てられ、現在、保存指定されるのは約6,500戸。外観は建築時期によって異なるデザインが風景を豊かにし、屋内は風や光を取り込む中庭、天窓を巧みに配置し、狭い間口ながら快適な空間となっている。

 

いま、このショップハウスは外国人投資家の熱い視線を受け、当地の住宅市場やオフィス市場が冴えない中、ショップハウスの価格は強気に動いている。金額が2億円から10億円と個人富裕層を取り込む価格帯であること、新築供給による値崩れはないこと、住宅の購入時に外国人に課せられる高い印紙税がショップハウスの取引では非課税であること、土地の権利がFreehold(所有権とほぼ同義)やリース期間が999年(こちらもマーケットでは所有権と同義とみなされる)であること等が、投資家を引き付けている理由だ。

 

Rental Yield (年間グロス賃料を購入価格で割ったもの)は2.5%~3.5%と言われるが、賃貸需要は底堅く、将来的にも安定的と期待できる。飲食店等の店舗需要だけでなく、2階以上は、周辺Aクラスビルに比べて割安な賃料のため法人からの事務所需要が一定数ある。2017年後半のタンジョン・パガーエリアのショップハウス取引は16件あり、その平均単価や相場賃料から試算すると、Rental Yieldは、約3.3%となった。

 

バックパッカー向けのホテルとして利用されているショップハウス「Chinatown Hotel」42室は、2017年7月、S$3,100万・S$7,465/sqfで売買された。戦前に建てられたであろう当ホテルの1室あたりの売買価格は6,100万円、日本の同等ホテルの取引価格が1室2,500万円~4,000万円に比べるとはるかに高いような気がするが、例えば稼働率も考慮して1室10,000円とすると年間では365万円、これを1室の売買価格6,100万円で割ると不動産投資利回りは約6%、他のアセットのRental Yieldや、景気上昇で客室料上昇が期待できることなどを考えると、投資を躊躇する必要はない。

 

新築建物に目が行きがちの方も、当地の不動産投資では視点を変え、これまでと違った価値観で投資物件を眺めてみるのも面白い。

プロフィール

浅野 美穂(あさの みほ)

大和不動産鑑定シンガポール現地代表・大和不動産鑑定株式会社執行役員・不動産鑑定士(日本)・MRICS・再開発プランナー(日本)
愛知県生まれ。上智大学法学部卒、マンションディベロッパーを経て不動産鑑定業界へ。2000年(平成12年)鑑定士登録。趣味は家族との海外旅行。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.330(2018年2月1日発行)」に掲載されたものです。

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