シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第9回 株を借りて、売り&買いで利益を出す?― 空売りのしくみ

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2017年12月29日

第9回 株を借りて、売り&買いで利益を出す?― 空売りのしくみ

会社の給料もなかなか上がらないし、老後にちゃんと年金がもらえるのか心配……お金に関する不安は多くの人が抱えているはず。このコーナーではM&R Partnersの三方麻琴氏が、初心者の人にも分かりやすいよう資産運用のポイントを解説、 実際に利益を出すまでの手順についてレクチャーします。

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米国株式市場は2017年12月に入っても引き続きダウ平均株価が最高値を更新中で、買い銘柄を見つけるのが難しい時期が続いています。そこで今回は、前回12月号のポートフォリオの組み方の解説で「売り」で利益を出すという話があったことから、売りの取引方法のひとつである株の「空売り」について、三方さんにより詳しく説明していただきます。

 

「空売り」って何ですか?

 

AsiaX:「空売り」って聞いたことはあるんですが、どのような取引なんでしょう?通常の株の売買とは違うんですよね。

 

三方:通常の株は「安く買って高く売る」ことで利益を得ますよね。空売りはその逆で、「高く売ってから安く買う」という方法です。厳密には、売るために株式を証券会社から借りてきて、それを売ります。

 

AsiaX:「株を借りる」ということですが、私のように投資経験が浅くても証券口座を持っていれば借りることができるのですか?

 

三方:空売りもできる証券会社の口座を持っていれば、という条件が付きますが可能です。証券口座によっては買いのみの場合もあるので、その点は注意が必要です。

 

AsiaX:そもそもなぜこのような取引ができるようになったんでしょうか?証券会社が保有する株ならば、証券会社がそのまま投資信託などで運用された方が、利益が出る可能性が高いのでは?と思ってしまったのですが……。

 

三方:証券会社は、自社の保有株を貸しているのではなく、株式をずっと動かさずに保有している安定株主から借りて、投資家に貸しています。証券会社の利益は、空売りした時と買い戻した時の売買手数料に加え、貸株料もあります。貸株料は期間が長いとより儲かります。よって、証券会社にとっては、儲けしかありません。投資家としても、下降トレンドの時や、これから株価が下がると見込んだ会社がある時に、空売りを利用することによって、収益の機会を増やすことができます。

 

空売りの方法

AsiaX:空売りに適した株って、どういう株なんですか?

 

web329_5742af054a5af33e1aebe9c87547f90e_l三方:基本的に「買い」の条件の逆を満たす銘柄を選びます。ファンダメンタルズ分析、つまり財務状況や業績を基に企業の本質的な価値を分析する際は、売上や利益の成長率が右肩下がりであることを確認します。また、テクニカル分析、つまり過去の値動きの傾向やパターンから今後の株価の動向を予想する際は、下降トレンドであることを確認して銘柄を選びます。

 

AsiaX:なるほど、簡単に言うと最近あまり元気がない会社の株、ということですね。空売りする株を選んだら、証券取引口座の取引画面から注文できるんですか?

 

三方:その通りです。注文方法はとてもシンプルで、銘柄を選択して、買いではなく売りを入れればよいだけです。他には特別なことは不要です。

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