シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第1回 東南アジアの不動産投資、今するべき?

REAL ESTATE in SOUTH EAST ASIA REPORT

2017年12月25日

第1回 東南アジアの不動産投資、今するべき?

シンガポール 〜住宅編〜

2017年、当地の住宅需要は全体的に縮小し、供給過剰感が漂った。ここ2~3年間で販売価格は確実に下がっている。個人的には、当地にマンションを1つ持とうとお考えの方には絶好の機会だと思っている。好みや生活に合わせてじっくり選べたり、条件を売り主に交渉できたりするこのタイミングは、「買い時」ではないか?

 

でも、不動産投資利回りを考えた方が失敗しないのでは?と思う方もいるかもしれない。不動産投資利回りとは不動産投資の指標で、年間賃料を販売価格で割った率。不動産投資額に対してどのくらいリターンを得られるかを示し、リターンが多いほど良い投資とされる。

 

2017年10月、私が当地に借りたコンドミニアムを例にとる。Tanjong Pagar駅から徒歩4分、62階建ての築約2年の建物で、借りたユニットは、ほぼ真ん中の階層、約78㎡、1LDKのメゾネットタイプ、リビングから少しだけ海が臨める。洗濯乾燥機、冷蔵庫等の家電は揃っている部分家具付き。賃料は、月額S$4,300(約35.7万円)の2年契約、敷金で賃料2ヵ月分、前払で賃料1ヵ月分を契約までに支払った。

 

同ユニットの販売価格を周辺の売出価格から調べたところ、同じ階層、同程度の広さ・間取りでS$1,500,000(約1億2,450万円)で取引されていた。私がオーナーに払う年間賃料はS$51,600(約428万円)なので、現販売価格で割り戻すと不動産投資利回りは3.4%程度。ちなみに築約7年の隣のコンドミニアムの利回りは3.6%程度で、当地の利回りが2%後半〜3%後半であることを考えると、いずれも悪くない高めの数値である。

 

ところで、日本の住宅に対する投資利回りは4~6%。これに比べると当地の利回りが低く見えてしまう理由は、大きく2つある。

 

その1つが、当地の都市面積だ。コンドミニアム市場が、東京都心3区(千代田区・中央区・港区)と山手線沿線(新宿区・渋谷区ほか4区)程度の広さに凝縮されている。高い利回りで安定的な横浜や名古屋のような地方都市は、当地には存在しない。従って、国単位で比べると当地の利回りが低く見える。

 

また、日本によくある単身者向けユニットが少ないのも1つの要因である。日本のワンルームの投資用ユニットの平均的な広さは約6坪(18㎡)であるのに対し、当地で利回りが高いとされるShoebox unitであっても50㎡近い。ユニット当たりの面積が広い方が賃料単価が低くなり、結果、利回りが低くなる。

 

よって利回りの数値だけで判断して、当地での不動産投資をあきらめるのは極めて残念。いまのタイミングに気に入ったコンドミニアムに巡り会えれば、それが買い時だと思っている。

プロフィール

 

浅野 美穂(あさの みほ)

大和不動産鑑定シンガポール現地代表・大和不動産鑑定株式会社執行役員・不動産鑑定士(日本)・MRICS・再開発プランナー(日本)
愛知県生まれ。上智大学法学部卒、マンションディベロッパーを経て不動産鑑定業界へ。2000年(平成12年)鑑定士登録。趣味は家族との海外旅行。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.329(2018年1月1日発行)」に掲載されたものです。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第1回 東南アジアの不動産投資、今するべき?