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会計・税務相談

2017年12月27日

Q.法人税の申告期限について教えてください。

法人税の申告について

A: 法人税の申告は、一会計年度につき2回あります。最初の申告は、「見積課税所得(ECI)」と称するもので、法人の会計年度終了日から3ヵ月以内に申告します。次の申告は、「Form C」または「Form C-S」と称するもので、会計年度終了日の翌年の11月30日が期限です。ただし、オンラインで申告した場合、12月15日まで期限が延長されます。

 

Q:ECIの申告とForm C、Form C-Sの申告は何が違うのでしょうか。

A: ECIは仮の申告で、手元にある決算書(未監査でもかまわない)にもとづく自己申告となります。ECIの申告では、会社は、①新規設立会社に関する免税制度の適用対象であるか、②年間売上高、③見積課税所得の3つを申告するだけです。申告後すぐに自己申告したECIにもとづいて計算された最初の賦課決定通知書(NOA)が発行され、法人税の予定納付を行います。

 

Form CとForm C-Sはいずれも本申告で、会社によってどちらかの申告書を提出します。Form Cは通常の申告書で、本書と一緒に以下の資料を提出しなければなりません。
● 監査済財務報告書(会社法により法定監査が義務づけられていない会社は、未監査財務報告書)
● 税額計算書および明細書
● Form IRIN 301(益金および損金に関する追加の情報)
● 詳細損益計算書
● 各種の控除などに関する申請書

 

Form C-Sは、Form Cより内容が限定的な簡易申告書で、以下のすべての要件を満たす会社のみ使用することができます。
● シンガポールで設立された会社である
● 年間売上高が500万Sドル以下である
● 17%の税率で課税される所得のみである(軽減税率の適用を受けていない)
● 以下の控除の申請を行わない
– 当期欠損金と過年度課税所得の相殺
– グループ控除
– 投資控除
– 外国税額控除

 

Form C-Sを提出する会社は、一部の控除の申請書を除き、Form Cと一緒に要求される資料の提出を義務づけられていませんが、内国歳入庁(IRAS)から要求されればいつでも提出できるように、これらの資料を手元に用意しておくことは最低限必要です。

 

Q:申告は、どのように行うのでしょうか。

A: ECIもForm C、Form C-Sも、現在は郵送による申告とオンラインによる申告の両方が認められていますが、2018賦課年度(2017年終了会計年度)から段階的にオンライン申告が義務づけられ、2020賦課年度からは完全にオンライン申告のみとなります。ECIの申告は比較的簡単ですが、Form Cや税額計算書の作成は、シンガポールの法人税に熟知していなければできません。そこで、通常は会計事務所を税務代理人に指定して、申告を代行してもらいます。

 

Q:すべての会社が申告しなければならないのでしょうか。

A: ECIに関しては、売上高が500万Sドル以下(2017年7月1日以後に終了した会計年度、2017年6月30日までに終了した会計年度については100万Sドル以下)で、かつECIがゼロである場合、申告する必要はありません。

 

Form CとForm C-Sに関しては、以下のすべての要件を満たす場合に申告免除の申請を行うことができ、申請が受理されれば申告を免除されます。
● 休眠会社であり、営業停止日までのForm C/Form C-Sを提出済である
● 投資資産(株式、不動産、定期預金など)を保有していない。保有している場合、これらの資産からの収入がない。
● 商品サービス税(GST)に事業者登録していた場合、登録抹消済である
● 今後2年以内に営業を再開する予定がない

 

Q:税金の納付はどのように行うのでしょうか。

A: 原則として、NOAの発行日から1ヵ月以内に支払わなければなりません。事前に銀行口座からの自動引落制度(GIRO)を申し込んでいる場合、ECIの申告にもとづく予定納付は、最高10回の分割納付となります。分割納付の回数は、決算日の翌月20日までにオンラインで申告した場合は10回で、申告が遅れるほど回数が少なくなり、3ヵ月以内に申告しなかった場合には一括納付しか認められません。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別のケースについて正式な助言をするものではありません。本記事内の情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.329(2018年1月1日発行)」に掲載されたものです。

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