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新規進出企業レポート

2017年10月31日

NIPPON KOEI CO., LTD. 新しい事業のあり方を模索し、新規市場に挑む大手建設コンサルタント

新規開拓を目指してシンガポール支店を設立

日本を代表する建設コンサルタント、日本工営が2017年5月、当地に支店を設立した。大正時代末期からアジア諸国で電源開発事業を行っていた久保田豊氏が1946年に創業した会社だ。水力発電事業のほか、発電関連機器の製造や電力設備工事へと事業を広げ、現在、日本工営は培った経験を生かしたインフラ開発のコンサルタントサービスを主軸とする。

 

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NIPPON KOEI CO., LTD.
Director & Managing Executive Officer
Director General of Global Strategy
Headquarters & General Manager of Singapore Office
露崎 髙康氏

 

同社について特筆すべきは、海外事業に着手した早さ。なんと1950年代から取り組んでいる。「久保田の夢は『電源を作る技術者』に留まらず、その国の経済発展も見据えた事業を計画することでした。たとえば戦後の賠償という国のスキームを適用し、ミャンマー、ベトナム、ラオスの水力発電事業のコンサルを手がけるなど、途上国での活動を展開したのです」(露崎髙康さん)。これまでのインフラ整備資金源の軸は、日本の政府開発援助(ODA)。1980年代後半から日本のODAが右肩上がりとなったことに比例し、同社の海外案件の多くが日本のODAによるものになっていった。しかしODAだけではすべてのインフラ整備を賄えない。同時に近年の日本政府によるインフラ輸出政策が相まり、官民が連携して効率的なインフラ整備を目指す「PPPスキーム」実現の重要性が高まってきている。それらを鑑みて同社が舵を切ったのが、当地への進出だ。

 

「今までは国や公的機関を支援する仕事をしてきましたが、これからは民間企業との連携をさらに強化する必要が出てきました。これまでもアジア各国には現地密着型として事業所や現地法人を設けていたものの、なかなかビジネスモデルが多様化しなかったこともあり、ここでマインドセットを変えてみようと思ったことがきっかけです」(露崎さん)。

 

実際のインフラ事業対象国はアジア諸国であったとしても、そこには当地の民間企業が資金面・情報面で関わっているケースが非常に多い。そこで当地に支店を設立することで、アジア各国のみならず当地のステークホルダーとの距離を縮め、金融セクターや物流関係者とも交流を図り、事業へ繋げていく足がかりの場を作ることにしたのだ。

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