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2017年10月26日

スマホが変える、シンガポールの恋愛・結婚・家族・社会

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米アップルがスマートフォン(以下、スマホ)の「iPhone(アイフォーン)」を販売開始してから今年で10年。11月3日には10周年記念モデルの「iPhone X(アイフォーン テン)」が発売される予定である。スマホは日常生活を便利にする道具として欠かせない存在となった一方、過度な利用や依存が社会や家庭に負の影響を与えていることも無視できない状況にある。本稿では、少子高齢化の問題を抱えるシンガポールで進行する晩婚化や離婚の増加に対して、スマホの普及が与え得る影響を具体例を示しながら考察し、スマホとどのように付き合っていくべきかを思案していきたい。

 

キャリアと貯蓄優先から晩婚化へ
異人種間を中心に離婚件数は増加

 

図1にシンガポールにおける平均婚姻年齢をまとめた。1980年から2016年までの推移を初婚および再婚の組合せ別にみると、全ての組合せにおいて夫、妻とも婚姻年齢は年々上昇傾向となっており、2016年では、初婚の場合、夫は30.3歳、妻は28.3歳、再婚の場合、夫は43.3歳、妻は37.1歳となっている。夫婦間における上昇の差異をみると、初婚の場合は妻の方が上昇傾向が強く、1980年から2016年の間に4.7歳(夫は3.6歳)上昇しているのに対し、再婚の場合は夫の方が上昇傾向が強く、同期間に5.5歳(妻は4.7歳)上昇する結果となっている。また、図2にある通り、婚姻と離婚件数の推移をみると、離婚件数は婚姻件数に比べて明らかな増加傾向にあり、1980年から2016年にかけて約5倍近くも増加している。

 

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晩婚化の背景としては、男女共にキャリア志向の強まりや、家庭を持つ前に貯蓄を優先する考えから結婚を先延ばしにする傾向が他の先進諸国と同様にシンガポールでも一般的に挙げられる。実際に2017年の世帯調査では、20代半ばから後半のシンガポール人の約70%は結婚よりもキャリア形成を優先して独身でいることを望んでおり、この数値は15年前の50%から増加している。また、多民族国家である特有の事情を背景に、シンガポールでは異人種間の結婚(中華系の夫とその他人種の妻、白人の夫と中華系の妻、など)がほぼ単一民族国家の日本などに比べて珍しいことではなく、婚姻全体に占める異人種間の割合は、1990年の7.6%から2016年の21.5%へ年々増加している。文化的背景や価値観の違いから夫婦間の摩擦が生じやすいと想定される異人種間の婚姻の増加は、離婚件数の増加に少なからず寄与していると考えられ、実際に離婚件数の全体に占める異人種間の割合は年々増加傾向にある。

 

出会いは「リアル」から「ネット」へ
デートアプリの利用が急速に拡大

キャリア志向の強まりと貯蓄優先の考えが晩婚化を後押ししている状況は前述の通りであるが、それ以外にも潜在的に結婚の障壁となり、結果的に晩婚化の要因となっていると考えられるのが、男女が出会う環境の変化である。

 

図3に2016年にシンガポール政府が実施した「結婚・家族形成に関する意識調査」の一部結果を示した。この調査によると、過去に真剣な交際をしたことがある独身者の73%が、友達の紹介、学校または職場で交際相手に巡り合ったと回答している。2012年の調査時の83%からは減少傾向にあるものの、交際に至る過程においては、生活の大部分の時間を共有する学校や職場での「リアル」な出会いが最も重要であることが読み取れる。特筆すべきはデートアプリを筆頭に、「ネット」を介した出会いが急速に拡大している点である。具体的には、交際相手に出会う手段としてデートサイト・デートアプリを利用することが心地良いと考えている独身者が、2012年には19%であったのが、2016年には43%にまで増加している。また、過去に真剣な交際をしたことのある独身者の中で、デートアプリなどオンラインを介して交際相手に出会ったと回答した割合は、2012年の7%から2016年の13%に約2倍も拡大している。

 

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このデートアプリを提供する先駆的かつ代表的サービスが、2012年からサービスを提供している米国発のTinder(ティンダー)である。スマホのGPS機能による位置情報を利用して設定した範囲内にいる相手のプロフィール写真を、気に入ればスマホ画面の右にスワイプ(指を移動)、気に入らなければ左にスワイプする。たったそれだけで、お互いに興味がある相手とコミュニケーションができるとあって、何事にも「早く、簡単で、便利な」サービスを求めるシンガポールのミレニアル世代を中心に利用が拡大している。

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