シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第1回 男女の脳の構造

職場の人間関係に生かす、男女の脳の違いとは?

2017年10月2日

第1回 男女の脳の構造

女性脳と男性脳は、右脳と左脳の連携密度が違う

脳には、男女間で多くの違いがありますが、コミュニケーション上の行き違いを生み出すのは、主に、のうりょう脳梁という場所の太さの違いです。私たちの脳は、俗に「右脳」と呼ばれる右半球と、「左脳」と呼ばれる左半球に分かれており、これらは別々の役割を担っています。

 

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通常、左脳には言語機能が優位に局在していて、顕在意識と直結しています。左脳は「顕在意識とことばの領域」です。脳の持ち主が意識して行っていることのほぼすべてが、言語優位側を介して出力されるので、脳科学上は「優位半球」と呼ばれます。これに対し右脳は、潜在意識のもとにあり、イメージを作りだす役割を担当しています。右脳は「感じる領域」です。

 

脳梁は、この2つの半球の脳神経細胞ニューロンをつなぐ神経線維の束。感じる領域の出来事を顕在意識につなげ、言語や数字、記号として表現していく際に使われます。この神経線維の束である脳梁は、太さや神経線維の本数に個人差があります。その太さは胎児期に決まり、男性ホルモンの影響を受け男子胎児の脳梁は発達を抑制されます。このため脳梁は、生まれつき女性の方が男性より太く、神経線維の本数も多いのです。すなわち、女性脳は男性脳に比べて「感じる領域」と「顕在意識とことばの領域」がより密接かつ頻繁に連携しているのです。このことが、女性脳と男性脳の、とっさの快・不快のありようを大きく分け、互いの特性を作りだしています。

 

次回は、具体的に職場で起こる男女脳のすれ違い、特に良かれと思ってしたことが裏目に出てしまった事例について紹介します。

326web_MsTezuka著者プロフィール
手塚 祐基
(てづか ゆうき)

株式会社感性リサーチ 客員研究員 感性アナリスト、プロダクトデザイナー

1985年、東京芸術大学卒業後、時計製造会社で腕時計のデザインに携わる。2006年、「怪獣の名前はなぜガギグゲゴなのか」で知られる感性研究の第一人者、黒川伊保子氏の感性理論に出会い師事する。現在は感性研究の実績を生かし、製品開発やネーミングのコンサルティングおよび、ジェトロ岐阜やアジアエックス主催のシンガポール講演など、企業向け講演活動を行う。倉敷芸術科学大学非常勤講師。筑波大学感性認知脳科学専攻の研究セミナー、工学院大学情報デザイン課セミナー、東京大学大学院情報学環主催セミナーなどの講師も務める。著書に、共著『人は語感で いい・悪いを決める』(KAWADE夢文庫)。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.326(2017年10月1日発行)」に掲載されたものです。

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