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星・見聞録

2017年5月31日

チャンギ国際空港の開発最前線

1981年に開港した、シンガポールの玄関口であるチャンギ国際空港。英国の航空サービスリサーチ会社であるSkytraxが発表した、2017年の世界空港ランキングでは5年連続で1位を獲得するなど、その利便性の高さや設備の充実ぶりは高く評価されている。同空港を運営するチャンギ・エアポート・グループ(CAG)によると、小売店や飲食店を含め同空港で働く人の数は2016年時点で約4万人と、雇用の面でもシンガポールの経済に大きく貢献している。また今年中には第4ターミナルが営業を開始する予定であるなど、そのキャパシティはさらに高まる見通し。同空港における、拡張プロジェクトの現状や、生産性向上のための取り組みなどに迫った。

 

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1.2016年の利用客数と貨物取扱量は過去最多

チャンギ国際空港の建設が決まったのは1975年。当時はパヤレバに空港があったが、旅客数の増加に伴い、新たにチャンギ地区に空港を整備する計画が持ち上がった。第1ターミナルの施工は竹中工務店が受注するなど、日系企業も関わりがある。

 

CAGによると、2016年の利用客数(乗り継ぎ客含む)は前年比5.9%増の5,870万人で過去最多を更新しているほか、貨物取扱量も6.3%増の197万トンと過去最高で、いずれも増加を続けている。

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充実した空港内施設

現在、第1~3ターミナルが稼働している同空港は、ショッピングや娯楽施設も豊富。空港内には店舗が360以上、飲食店が140以上あり、映画館やプールのほか、ひまわりが一面に咲く庭園や、チョウが舞う庭園などもある。さらに記念写真や動画を無料で撮影し、SNSに投稿できるソーシャルツリーといったユニークなサービスもあり、施設の充実ぶりは利用者を飽きさせない。フリーのWi-Fiスポットや仮眠スペースといった便利なサービスが揃っているほか、空港内のショップ利用客を対象に自動車などが当たる「チャンギ・ミリオネア」といったイベントも開催されている。

 

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シンガポール政府観光局によると、2016年におけるシンガポールへの外国人入国者数は前年より7.7%多い1,640万人で過去最多を更新した。政府は観光客の呼び込みに力を入れており、CAGはシンガポール政府観光局(STB)、シンガポール航空(SIA)とともに、今後3年間で3,375万Sドル(約27億円)を投じ、今後もシンガポールを観光地として海外に向けてPRする方針だ。同空港でも乗り継ぎ客向けの無料観光ツアーをさらに充実させ、旅行者の好みに合わせたグルメ案内サービスなどを提供する考えで、さらなるサービス拡充が予定されている。

 

空港使用料の割引など航空会社へのインセンティブも

現在同空港では、100以上の航空会社が世界330以上の都市へ航空便を提供しており、便数は年々増加を続けている。またCAGは同空港の国際競争力の向上に向け、航空会社に対してさまざまなインセンティブも提供している。

 

2014年からはGAIN(Growth and Assistance Incentive)と呼ばれるプログラムを実施し、1億Sドル(約80億円)をかけて各航空会社のコスト削減やオペレーションの効率化を支援している。この取り組みの一環として、2014年から2015年にかけ、同空港を利用する航空会社を対象に駐機費用の50%、搭乗橋使用料の15%の割引を行ったほか、2014年から2016年にかけては直行便の着陸料を50%値引きしている。同空港はこうした取り組みを通じて、アジアのハブ空港としての存在感をより高めていきたい考えだ。

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