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ビジネスインタビュー

2017年4月25日

【Sushi Burrito 創業者】シェリー・アンさん

元モデルが立ち上げた手巻き寿司店、健康志向なビジネスパーソンにも人気

 数多くの寿司店があるシンガポールで、2013年にオープンしたユニークな店がある。その名は、オリジナリティ溢れる手巻き寿司を提供する「Sushi Burrito」。創業者は元ファッションモデルのシェリー・アンさん。タンジョンパガーとチャンギ空港内に店舗を構え、シンガポール島内向けにデリバリーも行っている。レタスやアボカドなど新鮮な野菜をふんだんに使い、メキシカンスタイルも取り入れた新感覚の手巻き寿司は、シンガポール人らを中心に人気を博しているという。創業までの道のりや、今後のビジネスの展望などについて伺った。

 

 

SushiBurritoを立ち上げようと思ったきっかけについて教えてください。

 私は以前から、いつか自分で事業を立ち上げたいという思いを持っていました。不動産業界で3年ほど働いた後、退職して米国を旅行していたときに、寿司の具材をブリトー(肉やチーズなどをトルティーヤで包んだメキシコ料理)風にアレンジした料理を食べ、もっとクオリティの高いものを提供できれば、シンガポールでも受け入れられるのではないかと思ったことが起業のきっかけになりました。

 

 それまで飲食業での経験はありませんでしたが、4ヵ月ほどシンガポールで日本人のシェフと一緒に働きながら業界のことを学びました。

 

ファッションモデルとしてのご経験もあるとのことですが、どのような活動をされていたのでしょうか。またその経験は、今のビジネスにどう役立っているのでしょうか。

 学生時代からモデルの事務所を経営しており、モデルをイベントなどに派遣するとともに、自分自身もテレビCMなどに出ていました。仕事を得るにはオーディションを通過しなければならず、大きなプレッシャーがかかります。そうした中でプレッシャーと戦い、自分に自信をつけることができた経験は、今の仕事でも役立っています。また周囲にいた起業家の方々が私のメンターになってくれたことも、自分が成長できた理由のひとつです。

 

製品・サービスの特徴についてお聞かせ下さい。

 当社の手巻き寿司は野菜を多く使っているためヘルシーで、グルテンフリーのメニューも用意しています。普通のケータリングサービスとは一味違ったメニューとして、パーティーやイベント向けにも人気があります。シンガポール島内ならどこでも配達しており、CBD(Central Business District)エリア内、もしくは50Sドル以上の注文の場合はデリバリー料金を無料にしています。
 

 

商品開発について、どのような工夫をされているのでしょうか。

 定期的にイベントを開催しており、テストメニューを試食してもらう場を設けています。評判の良かったものは積極的にメニューに取り入れています。またお客様からのフィードバックを元に、シェフと相談しながら常に新メニューを考案しており、商品ラインアップは毎年大幅に変えています。
 

広告やパッケージのデザインもファッショナブルですね。

 プロダクトデザインについて学んだ経験もあり、商品パッケージなどは全て私が担当しています。

 


 

主な客層について教えてください。

 CBDエリアに勤める、ビジネスパーソンの方が主なお客様になります。どちらかというと、日本人よりもシンガポール人や欧米の方が多いですね。

 

 チャンギ空港の第1ターミナルにも出店しており、出張の多いビジネスパーソンを中心にご好評いただいています。すぐにテイクアウトでき手軽に食べられるうえ、機内食よりも健康的なところが人気の理由だと分析しています。

 

お仕事のやりがいについてはいかがでしょうか。

 お客様が当社の寿司を食べて喜んでくれ、それをインスタグラムやフェイスブックに投稿してくれたのを見たときはとても嬉しいです。お客様の中には、ジムでのワークアウト後に手巻き寿司を食べる方など、いろいろな方がいらっしゃいます。当社の手巻き寿司が、お客様の生活の中に取り入れられているのを見るのは、仕事に対するモチベーションの向上につながります。

 

 また私は、新しいものをつくることが好きなので、新店舗をオープンするときはわくわくします。壁にポスターを飾ったり、椅子やテーブルを配置したりといった作業は楽しいですね。

 

今後のビジネスの展望についてはいかがでしょうか。

 シンガポール内外から、フランチャイズでの出店について多くの問合せをいただいています。チャンスを見ながら、さらに事業を拡大していきたいと思います。投資家の方も探しており、ともに成長していきたいと考えています。

 

 事業を持続可能なものにするためには、常に進化していくことが求められます。そのためには、若い世代を含めたお客様が何を求めているのかを知る必要があります。その声を可視化するために、SNSといった新しいテクノロジーを取り入れていくことは大切だと思います。

 

 特にSNSの普及は、飲食業のマーケティングのあり方に大きな影響を与えていると思います。私達は、お客様がSNSへ投稿する内容を見て、商品やサービスへのフィードバックをすぐに得ることができるようになったのは大きな変化と言えるでしょう。

 

趣味は何ですか。

 絵を描くことです。アクリル絵の具でキャンバスのほか、バッグや靴などのレザー製品によく絵を描いています。

 

これまで日本へ行ったことはありますか。また、そのとき印象に残った出来事について教えてください。

 去年日本を訪問し、築地市場でマグロの競りを体験するなど、とても貴重な経験ができました。また日本にいる間、毎日いろいろなものを食べましたが、特に銀座の高級寿司店「すきやばし次郎」で食べたウニの軍艦巻きの味は忘れられません。

 

 クオリティの高い寿司をつくるには、細かいところにまでこだわる姿勢が大切なのだなと感じました。寿司は、適温のシャリと適量のワサビ、新鮮なネタと醤油によるシンプルな組み合わせでできていますが、良いものをつくるには極めて高度な技術が必要です。シンプルなようで奥が深く、寿司づくりには自制心と粘り強さが必要になります。そうした資質を持っているのは素晴らしいことだと思います。

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シェリー・アン(Sherry Ang)

シンガポール出身。
テマセク・デザインスクールでプロダクト&インダストリアルデザインを学び、ニューヨーク州立大学バッファロー校でコミュニケーション学の学士号取得。学生時代からファッションモデルとして活動。不動産業界で3年間働いた後、その時の貯金を元に2013年にSushi Burritoを立ち上げ運営に携わる。2015年にはチャンギ空港内に新店舗をオープンした。

(写真提供:Sushi Burrito)
(取材:佐伯 英良)

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