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座談会

2017年4月25日

現地採用者の声!シンガポール生活編

AsiaX:部屋を借りるにあたっては、契約書は事前にしっかり目を通しておく必要がありますね。英語の表現をひとつ誤解しただけで、重大なトラブルに発展する恐れもあります。
次に、現地採用の方のワークスタイルについてお聞きしたいと思います。駐在員と現地採用者の間で、仕事に対する考え方にギャップがあるという話を耳にすることがあります。実際、皆さんの職場で、現地採用者と駐在員で仕事への考え方や取り組み方が違うと感じることはありますか。

 

風呂井:駐在員の方は、任期が3~5年くらいの方が多く、現地のビジネスや社内での仕事の進め方などについて、どうしても日本の基準で考えてしまいがちです。日本のやり方がそのままシンガポールで通用すると考えている人も少なくないかもしれませんね。そうした意識のギャップを埋めるのが、現地採用で働く私たちの役目でもあるのではないでしょうか。

 

川口:駐在員には本当によく働く方もいらっしゃいますし、現地採用の人にもいろいろな考え方の人がいるので、一概にこうだとは言えませんね。現地採用の人の一部には「バリバリ働くのは駐在員の役目」と考えていて、「この仕事は自分のやることではない」と主張する人もいます。
私の場合、家族と一緒に過ごせるかどうかが仕事を選ぶうえでのポイントです。一度タイで、駐在員待遇で働かないかという話があり、毎週末、シンガポールにいる家族の元へ帰らせてもらえるならと交渉したことがありますが、結局、別の人が行くことになりました。私はシンガポールで現地採用のまま働くことになって今に至っています。会社命令であちこち飛ばされることに抵抗があったのも、現地採用として長く働いている理由なのかもしれませんね。

 

日浦:前職において駐在員は平日朝から夜遅くまで、さらに週末も働いていました。また現在も、周りにいるのは資格を持ったその分野のプロたちで、意識の高さにとても刺激を受けています。

 

AsiaX:今年1月からエンプロイメント・パス(EP)発行についての新基準が適用されるなど、現地採用者をめぐるシンガポールでの就労環境が大きな変化を見せています。今の状況をどのようにご覧になっていますか。

 

風呂井:私もシンガポールに来た当初はEPで働いていました。当時は、日本で数年の就業経験があればEPは取得できていたのですが、今では学歴や年齢まで見られるようになっていて大変だなと思います。

 

AsiaX:この厳しい状況の中で、これからシンガポールで現地採用として働きたいと考えている方に対して、メッセージをお願いします。

 

風呂井:海外で生活するとなると、やはり当初思っていたことと違うことがどうしても出てきます。それでも、ここで腰を据えてやっていくという覚悟を持つことが大事です。少しのことで弱音を吐いているようでは、海外では生きていけないと思います。

 

日浦:海外で働くことは日本と違うこともありますが、様々な人に出会い、いろいろなことを肌で感じることができるのが魅力ですね。ここに来てから、日本人ももちろんそれ以外の国の人達とも素晴らしい出会いがありました。自分の子供やこれからシンガポールに来る方にも、そうした出会いをぜひ経験してほしいと思います。
一方で、時には厳しい現実も待ち受けていますが、迷った時にはリスクがあってもワクワクするような道をぜひ選択してほしいです。理論や理屈ではなく、出会いが人を変えて成長させてくれるのだと強く思います。

 

山本:夢と現実との間にギャップが生まれることはどうしてもあります。それでも、怯えずに海外での仕事にどんどんチャレンジするべきだと思います。特に海外でのいろいろな人との出会いは、人生の宝物になると思いますよ。また改めて日本の良さをよく分かるようになります。

 

川口:シンガポール人には、日本の文化などに関心を持つ人が多く、歴史や文学など日本のことをよく聞かれます。時には「日本人なのにそんなことも知らないの?」と言われることもあるくらいです。シンガポールに限ったことではないのかもしれませんが、海外で暮らすにはまず自分たちが生まれた日本のことをよく知っておくことが大事なのではないでしょうか。

 

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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.321(2017年5月1日発行)」に掲載されたものです。

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