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ビジネスインタビュー

2017年2月20日

【ポークジャーキー専門店「ビーチェンヒアン」】ダニエル・ウォンさん

オンリーワンのポークジャーキーをアジア各国で展開。ゆくゆくは東京だけで100店舗を

 昨年9月、東京の銀座5丁目に日本1号店をオープンしたポークジャーキー専門店のビーチェンヒアン(美珍香、Bee Cheng Hiang)。1933年にシンガポールのチャイナタウンで創業した同社は、干し肉「バクワ」の老舗として知られる。独特の甘味があるタレで味付けした、炙りたてのポークジャーキーを楽しめるスタイルが特徴の同社は現在、マレーシアや香港、インドネシア、フィリピンなどアジアの12ヵ国に展開しており、店舗数は351。食品安全基準を満たすための手続きなどから、日本での出店には長期間を要したというが、今後日本では積極的に出店を進める意向という。日本出店の背景や今後のアジアでの事業展開について、ジェネラル・マネージャーのダニエル・ウォン氏に聞いた。
 

 

日本出店までの経緯、また一号店を銀座にオープンした理由について教えてください。

 シンガポールを訪れる日本人の方には、以前から当社のポークジャーキーをよく買っていただいていました。中国など他国の店舗でも日本人のお客様が多く、日本への出店を長い間検討してきました。実際にロケーションを探し始めたのは2014年頃で、銀座のほか表参道や渋谷、新宿、品川など約40ヵ所を候補に検討を進めました。
 
 銀座を選んだのは、国内外からの旅行客が多いことに加え、入居先のビルのすぐ近くにユニクロの大型店舗があることが理由です。シンガポールだけでなく、上海や香港などには多くのユニクロの店舗があり、アジアの国から来た人にとってユニクロは身近な存在といえます。当社の店舗にも立ち寄ってもらいやすいと考えました。

 

新橋にも出店する計画があるそうですね。日本での事業展開について、今後の展望をお聞かせ下さい。

 新橋は日本の内外から多くのビジネスマンが集まるエリアなので、立地として魅力的です。今後東京では、新宿や渋谷といった人が多く集まるエリアを中心に、積極的に出店を進めていきたいと思います。
 
 店舗数については、人口約550万人のシンガポールには現在45店舗があるのに対し、東京都の人口は1,000万人超なので、それに比例してゆくゆくは都内だけで直営店を100店舗ほど設けたいと考えています。東京以外の地域では、フランチャイズでの出店を検討していきたいと思います。
 

 

開店から数ヵ月が経過しましたが、お客の反応はいかがですか。

 日本人のリピーター客は増えており、中には毎週来店される方もいらっしゃいます。お歳暮などのギフトとして買っていかれる方も多く、さらには当社の商品を贈られた方がその味を気に入り、東京都外から電話で注文してくださるなど、口コミで広がりを見せています。

 

ポークジャーキーについて、日本向けのアピールポイントはどういったところにあるのでしょうか。

 ポークジャーキーの材料には良質の豚肉を使っており、食材の品質にはとことんこだわっています。また保存料や着色料、人工甘味料といった添加物を使っていない点は、健康志向の強い日本の方にアピールできるところだと思います。シンガポールにおける厳しい食品衛生管理基準をクリアしているところも、安心感につながるのではないでしょうか。

 

味付けや販売方法について、シンガポールと日本で違いはありますか。

 当社のポークジャーキーは全ての国で同じ味で、アジアの国々では広く受け入れられています。日本向けに味付けを変えているということはありません。一方で包装については、日本で展開するにあたり独自の工夫をしています。シンガポールでは創業当時から、ポークジャーキーを包装紙で包んで販売するスタイルを続けており、包装紙から出した後、手でつまんで食べるのが一般的です。日本の場合、手を汚したくない人が多いのではないかと考えバーガー袋を用意しました。手を汚さずに、炙り立てのポークジャーキーをその場で食べることができるので、旅行客の方からも好評です。

 

日本での競合他社の存在についてどのようにお考えでしょうか。

 当社のポークジャーキーは味だけでなく、炙りたてをお出しするところにもオリジナリティがあり、日本ではオンリーワンの商品を展開していると自負しています。競合についてはあまり意識していません。

 

シンガポールの飲食関連企業では、チキンライスのウィーナムキー(威南記)のほか、豆乳やスイーツを提供するミスタービーンが日本に進出しています。今後、日本に進出するシンガポール企業は増えていくとお考えでしょうか。

 増えていくのではないかと思います。出張や旅行を通じて、日本人が海外のさまざまな食文化に接することが増え、日本国内でも食へのニーズは多様化しています。飲食店にも新しいコンセプトや、これまでになかった味が求められており、海外の企業が日本へ参入するチャンスはあると思います。

 

アジア全体での事業戦略についてはどのようにお考えでしょうか。

 各国のマネージャーには、可能な限り早いペースで店舗数を増やすよう指示しています。ただし経済にはサイクルがあり、経済成長が加熱するとオフィスの賃料なども高騰します。高値で物件を借りてしまい、ビジネスの継続性に支障が出ないよう注意する必要があります。

 

大学ではコンピューターサイエンスを専攻されたそうですね。大学で学んだことは現在の仕事にどう役立っていますか。

 コンピューターサイエンスでは、例えばソフトウェアで問題が発生したとき、何ができて何ができないのか、現象を細かく切り分けながら原因を特定していくことが重要です。こうした問題解決のプロセスは経営にも通じると思います。

 

仕事のやりがいについて、一言コメントをお願いします。

 スタッフとさまざまな経験をシェアしながら、美珍香というブランドを育てていけることです。私が入社した1993年時点で店舗数は30以下でしたが、海外展開を通じて事業をここまで大きくできたことには感慨深いものがあります。これからも多くの方に当社のポークジャーキーを楽しんでもらいつつ、その魅力をシェアしていただけると嬉しいです。

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ダニエル・ウォン(Daniel Wong)

1969年シンガポール生まれ。1993年に米国ウィスコンシン大学マディソン校を卒業(理学士)。同年Bee Cheng Hiangに入社し、シンガポール国内外における小売りや広告戦略の策定、製品の品質管理のほか、中国の上海、広州、深セン、韓国ソウルへの出店に携わった。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.318(2017年2月20日発行)」に掲載されたものです。
(取材・写真:佐伯 英良)

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