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にっぽん時事深々

2017年1月23日

日本では18歳以上から投票可能に 選挙のあり方をめぐる 日本とシンガポールの違いとは?

2015年6月に日本で改正公職選挙法が成立したことに伴い、2016年7月に行われた参議院選挙では、新たに18、19歳の人が投票できるようになった。選挙権の引き下げは、1945年に25歳から20歳に引き下げられて以来のことで、若い人の政治への関心を高め、その要求を政治に反映させるとともに、全体の投票率が向上することが期待されている。こうした動きは、選挙結果や政治にどのような影響を与えていくのか、シンガポールとの比較も通じて考えてみたい。

 

世界における選挙権年齢
317web_NipponJijiShinshin_chart1現在、多くの先進国では18歳から選挙権が与えられている。国立国会図書館の調査によると、世界のおよそ8割の国では18歳以上で投票できるようになり、インドネシアの17歳、キューバの16歳などそれを下回る国もある。一方で、シンガポールやマレーシアでは21歳、バーレーンで20歳など、一部の国では18歳を上回っている。

 

18~19歳の投票率は20~30代を上回る
総務省が発表した2016年参議院選挙の投票率を年代別でみると、18歳の投票率は51.17%、19歳は39.66%。両者を合わせると46.78%と全体の54.7%を下回ったものの、20~30代を上回る結果になった。この背景について、東北大学の河村和徳准教授はこう指摘する。「一つの要因は『初物効果』です。これは選挙権年齢が20歳のときにも見られた効果で、『選挙権を得て初めての選挙なので記念に投票に行こう』という層が一定程度いることが要因です。しかし、次回からは『選挙は面倒』『もう行ったので十分』ということで棄権するというギャップにより、初めて投票した層の投票率が相対的に高くなるのです」。

 

317web_NipponJijiShinshin_chart2高校生が投票できるようになったことも大きいという。「高校生は、大学への進学や就職で一人暮らしを始める人が増える19歳以上よりも、地元の政治家に関する事前知識や投票所の場所などをよく知っていることが多く、投票に行きやすい環境が整っています。総務省の調査結果でも、東京や神奈川などといった都市部の方が18~19歳の投票率が高いのは、その証左と思われます。今回の選挙では、高校生が親と連れだって投票所に来る風景も見られ、そうしたことも18~19歳の投票率の高さに反映されたと思います」(河村氏)。

 

選挙権年齢引き下げの意義は?
20~30代の若い世代の投票率は総じて低い中、河村氏は選挙権年齢の引き下げについては好意的な見方だ。「選挙権年齢引き下げの最も大きな意義は、親元で過ごしている時期に投票を経験できるようになったことだと思います。地元にいれば『友達の親戚が立候補しているから投票に行こう』『友達が投票に行こうと言っているから私も』と、投票所に行くインセンティブを生み出せます。『投票しなければ』という高い意識は、そうした経験を積み重ねた結果、生まれるかもしれません。若い人が『とりあえず投票所に行ってみよう』と思える環境を整えたという意味で意義深いと思います」。

 

一方、選挙権年齢引き下げの効果について、日本や東南アジア諸国の政治・選挙制度に詳しい、広島市立大学の板谷大世准教授の見方は懐疑的だ。「所属する世代によって投票行動が左右されると考えるならば、今後も日本では15〜64歳の生産年齢人口が減少し、65歳以上の老年人口が増加していくので、18~19歳の投票が認められるようになっても、大勢には影響を与えないのではないでしょうか」。

 

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