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ビジネスインタビュー

2010年9月6日

世界唯一のF1ナイトレース、マリーナベイ・サーキットへ再び!

F1シングテル・シンガポール・グランプリ・チェアマン テオ・ホックセンさん

 

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今やシンガポールの年間行事として欠かせなくなってきたSingtelF1シンガポールグランプリ、今年は9月24日から26日まで開催される。走行コースのライト装着作業などコース整備も進み、国を挙げて世界中のF1ファンを出迎える準備が着々と整いつつある。コースを疾走するマシンの轟音、まばゆいライト、大興奮の観客が、今年もまた戻って来る。

2008年に第1回のレースが開催されてから今年で3年目。これまでの成功、今年の見どころについて、F1シングテル・シンガポール・グランプリのチェアマン、テオ・ホックセン氏に話を聞いた。

シンガポールへF1誘致からこれまで

AsiaX
シンガポールへF1誘致を叶えるまでのストーリーを教えてください。誘致に特に尽力されたオン・ベンセン氏からシンガポールでのF1開催の構想を聞いた時、どう思われましたか。
テオ
1980年代、最初にその構想が持ち上がった時、イーストコーストパークウェイに恒久的なF1サーキットを建設する可能性を探っていましたが、諸々の理由で実現しませんでした。が、私自身、実現への思いは常にありましたし、F1をシンガポールに誘致する最大のメリットとして、経済成長とアジアにおけるモータースポーツの認知が上がることを訴えて続けました。2008年9月28日に市街地での世界初のナイトレースがマリーナベイで行われた時は、本当に積年の夢が叶った思いでした。

 

AsiaX
世界初の市街地ナイトレースとして、F1シングテル・シンガポール・グランプリ(以下シンガポールGP)開催にあたり、課題となったことと、これまでの成果について教えてください。
テオ
市街地の実際の路面を使ったサーキット設計が最大の難関でした。あらゆる分野の専門家の意見が必要で、最初の建築技術設計は、オーストラリアのメルボルンにあるケロッグブラウンアンドルーツ(KBR)という、アデレードグランプリの市街地サーキットを90年代にデザインした経験のある専門家に託されました。また、サーキットを照らす照明に関しても、ドライバーの安全を守り、安定したテレビ中継のために、日中に近い照度を保つことも大きな課題でした。それには、バレリオ・マイオリによる特注の投光照明システムによって見事に解決されました。
今や、シンガポールGPは、年間のF1グランプリを通して、もっとも視聴率の高いレースのひとつとなりました。過去2回のシンガポールGPでは、全世界で合計1億9,500万人もの視聴者数を数えました。
夜間の開催によって、ドライバーやそのチーム、観客にも涼しく快適に過ごしてもらえると同時に、生中継のレースをヨーロッパでも楽しめる時間帯となり、シンガポールの美しい夜景や街並みを3時間もの生中継の間アピールすることができているのです。
特にこのイベントを通して、シンガポールが「東洋のモナコ」と度々紹介されているのは素晴らしいことです。経済効果はもちろんのこと、世界水準のデスティネーションとしてシンガポールを世界に知らしめる絶好の機会となっていると思います。

 

F1シンガポールグランプリ2010

 

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AsiaX
三度目のシンガポールGPを成功させるにあたり、新しいチャレンジとなることを教えてください。
テオ
これまでのファンを引き続き盛り上げることと、新しいファンをさらに取り込んでいくために、イベントとしてのシンガポールGPを常に新しい魅力のあるものにすることです。
今年は、イベントの充実をはかるため、予算も500万ドル(約3.3億円)増額し、レース観戦の他にも数々のエンターテイメントを楽しんでもらうよう準備しています。

 

AsiaX
過去2回開催されたシンガポールグランプリと比べて、今年はどのようなユニークな企画が用意されているのでしょうか。
テオ
今年のエンターテイメントは、マライア・キャリーをはじめ、ミッシー・エリオット、アダム・ランバート、ドートリーなどのスターを迎え、レースの前後、観客を盛り上げていく予定です。グランドスタンド席では、フリースタイルトライアルバイクのショーが行われ、マリーナベイを背景に360度宙返りするスタントを見ることができます。
AsiaX
今年のシンガポールグランプリの見どころを教えてください。具体的なレースコースでの見どころはどうですか。
テオ
今年は、マリーナベイ市街地サーキットを初めて走行するドライバー6名を迎え、23のターンをこなし61周する夜のレースをさらに盛り上げてくれるでしょう。コースについては、それぞれのターンや観客席に見どころがありますから、これとピックアップするのは難しいですね。もし過去2回のレースを観戦したことのある方なら、これまで出かけたことのないゾーンや観戦エリアを試してみることをお勧めしますし、初めての方なら、ピット・インの建物の向かい側にあるゾーン1でレーシングカーやチームを間近で見るも良し、ゾーン3のベイグランドスタンド席なら、座席の下を車が走り抜けたり、90度の角度のターンをレーシングカーが巧みな技で切り抜ける様が見て取れます。ゾーン4の観覧席からは、これまでいくつかの出来事のあった「シンガポールスリング(ターン10)」や、時速280キロを一気に減速して右折するターン14が見られます。

 

AsiaX
ご本人もやはりF1ファンだと思いますが、最大の魅力は何ですか。
テオ
もちろん、私もF1の大ファンです。レース観戦ではアドレナリンをかき立てられつつ、レース開催期間中のエンターテイメントも充実していて、まさにライフスタイルの一部として楽しめるスポーツだからです。世界各地で行われているF1グランプリ各戦には、たいてい出かけた経験がありますが、いずれの場所でも、世界中から集まった大勢のF1ファンと共に車の轟音やそのスピードを目の当たりにするレース、特別に用意されたエンターテイメントの数々を存分に楽しむという過ごし方に飽きる事は全くありません。

 

AsiaX
アジアエックス読者へのメッセージをお願いします。
テオ
日本人の観客の皆さんには、F1グランプリのイベントを毎回より良くして行く為に、建設的で前向きなフィードバックを多く頂いており、とても感謝しています。今年は、例年以上に日本のお客様に満足して楽しんで頂ければ嬉しいです。今年もアジアエックス読者の皆さんを、シンガポールGPにお迎えする事を楽しみにしています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.174(2010年09月06日発行)」に掲載されたものです。
取材=桑島千春

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