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4賢人の知恵袋 ~新時代のビジネスアプローチ~

2016年11月7日

マーケティング編 最終回 死生観がマーケティングを変える

前々回、お客様が買うものは「約束」であり、他社が真似できない卓越した約束を守り続けることによって初めて、信頼され繁栄し続ける企業は作られていくということをお話ししました。そして前回、お客様が買わないものは「リスク」であり、お客様が負っているリスクを会社が背負って初めてフェアな取引が成立し、それができる会社とあなた自身の器が業績を伸ばすということをお話ししました。

 

今回は、どうやってそれを実践するのかについてお話ししたいと思います。それは一言で言えば「誠実になる」ということに尽きるのですが、では、誠実とは一体どういうことなのでしょうか。

 

その答えは、「誠実」という漢字が教えてくれます。「誠実」の「誠」は、「言葉が成る」と書きます。「偽りなき真実の言葉は必ず成就する」ということです。言行一致、有言実行。それが誠実という言葉の本質です。「そんなの当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんが、果たしてあなたはどれほどの覚悟でそれを行っているでしょうか。

 

その「覚悟」とは何か、また「約束を守る」ことの意味、「リスクを取り除く」ことの意味については、日本の武士道精神が重要な示唆を与えてくれます。「武士に二言はない」と言われますが、これは、一度口にした約束を破ることは、武士にとっては死を意味する、ということを表します。約束を破るくらいなら、命を捨てるということです。そうしないことは生き恥をさらすことになります。命を賭けても約束を守るという覚悟が信頼を獲得し、尊敬を集めるのです。

 

その覚悟、すなわち死生観によって、マーケティングだけではなくマネジメントも変わります。リーダーであるあなたが、「命を賭けても約束を守る」という覚悟を示せば、スタッフの仕事に対する真剣さ・緊張感は全く異なるものになるでしょう。

 

私は、ビジネスの世界で文字通り命を賭けなければならないと言うつもりはありません(創業1400年を超える日本最古の企業「金剛組」の37代当主、金剛治一は営業で仕事を取ることをよしとせずに経営不振に陥り、「先祖に申し訳ない」と代々の墓前で自害しましたが……)。しかし、その覚悟がどれだけ本気のものかを行動で示すことは必要です。

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