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星・見聞録

2016年9月5日

シンガポールで知っておきたい ヒンドゥー教の世界

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シンガポールで信仰されている主な宗教を挙げると、仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教などがある。日本でも馴染みの深い仏教やキリスト教、近年の世界情勢で何かと話題に挙がるイスラム教についてはある程度知識を持った人は多いが、ヒンドゥー教については関わる機会が少なく、深くは知らないという人も多いのではないだろうか。今回はヒンドゥー教を知る上で大切な基礎知識について紹介する。

 

ヒンドゥー教の基礎知識

309web_hindu_hr_01〈ヒンドゥー教とは〉

ヒンドゥー教はインドで一般的に浸透している宗教であり、世界に現存する宗教の中で最も古い。伝統的には「サナータナ・ダルマ(Sanatana Dharma、永遠の法)」といい、明確な時期は不明だが一説では紀元前1000年頃から紀元前500年頃にかけて編纂されたともいわれるインドの宗教文書「ヴェーダ」が進化した宗教と言われている。森羅万象のすべては宇宙の根本原理(=ブラフマン)から生まれたという認識がされており、そこから多くの宗派が派生した。宗教によって信仰する神や信条が異なるが、基本的な教えや目標には、大きく分けて下記の3つがある。
・ジュニャーナ(知恵・知識):知識を探求し、真実を知る
・バクティ(愛情・忠誠):祈りをささげ忠誠を誓い、解脱を得る
・カルマ(行為):行動することで、何かを得る
また、ヒンドゥー教では真の自我(=アートマン)がブラフマンと一体であることを体得するまでは何千回も生まれ変わると信じられている。俗なる精神から解放され無我の境地にたどり着くのが望ましい終わり方で、それを迎えるべく瞑想を行ったり、無償の行為を行ったりと、様々な祈願(サーダナ)を行うのである。

 

〈ヒンドゥー教の人口〉

現在はインド国外でもネパールやスリランカなどの南アジア、インドネシアやミャンマーなどの東南アジア、アメリカ、イギリスほか、オセアニア地域のフィジー、南アメリカのスリナムやフランス領ギアナ、東アフリカのモーリシャスなど世界各国で信仰する人が多く存在し、信徒は約10億人。キリスト教、イスラム教に次ぐ世界第3位の規模を誇る。

 

〈シンガポールにおけるヒンドゥー教〉

ヒンドゥー教がシンガポールに伝わったのは7世紀ごろ、シュリーヴィジャヤ王国時代に貿易など外部との交流によってもたらされたのが最初だといわれている。特に強い広がりをみせたのはイギリスによる植民地時代の1800年代。南インドから多数の労働者やその家族らが移住した影響でヒンドゥー教徒が増加し、1931年のシンガポールの人口の約5.5%を占めた。
シンガポール統計局の2015年一般世帯調査(※)によると、シンガポールにおける15歳以上の人口は約327万5,900人、うち仏教は約108万7,300人で全体の約33%、キリスト教は約61万6,100人(約19%)、イスラム教は約45万9,800人(約14%)、ヒンドゥー教は約16万2,500人(約5%)である。数値だけで見るとヒンドゥー教の割合は少なく感じるが、シンガポールには30以上ものヒンドゥー教寺院が存在したり、タイプ―サムなど街を賑わす行事も開催されたりと、シンガポール社会にしっかりと根付いた宗教となっている。

※出典:シンガポール統計局    http://www.singstat.gov.sg/publications/publications-and-papers/GHS/ghs2015content

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