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シンガポール星層解明

2016年9月19日

現実味を帯びる「2028年シンガポール五輪」

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シンガポール初の金メダルはスクーリング
100メートルバタフライで五輪新(2016年8月15日)
https://www.asiax.biz/news/34946/

 

8月22日に閉幕したリオ五輪は、日本勢の活躍もさることながらシンガポール代表選手の動向も注目された大会となった。シンガポールは1965年の独立以降、2008年北京五輪に並んで過去最多となる25名の選手団を送り込み、21歳のスクーリング選手が競泳男子100メートルバタフライにおいて4連覇を目指す米国のフェルプス選手を2位に退け、五輪新記録でシンガポールに史上初の金メダルをもたらす大活躍を見せた。
筆者はこの金メダリストの誕生を機に、シンガポールでスポーツを取り巻く環境やスポーツ産業が急速に発展し、東南アジア初の五輪開催を目指し、2028年夏季以降の大会を同国が招致する可能性が高まったと見ている。本稿では、東南アジアのスポーツ人口の増加やスポーツへの人気が日系企業にもたらす恩恵、五輪開催の潜在力も踏まえながら、シンガポール五輪の現実性を考察していきたい。

 

東南アジアのスポーツ人口は増加傾向
背景には勢いを増す経済成長

図1に過去アジアにおいて夏季五輪を開催した日本、韓国、中国に加えて東南アジアの主要6ヵ国の名目GDPとリオ五輪に参加をした各国の五輪選手数との相関を示した。経済規模が大きい中国、日本、韓国、東南アジア諸国の順に多くの選手を送り込んでいることからも、国民の生活水準の向上がスポーツ人口の増加に繋がり、それが五輪選手の数に影響していると考えられる。

 

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また筆者は中国がアジアで最大の選手団を派遣しているのは、13億人を超える人口規模に拠る部分が大きいと思っていたが、図中の円サイズで示された人口100万人当たりで比較してみると、興味深いことにシンガポールが4.4人と最多の選手を五輪に派遣している。スクーリング選手は金メダルを取得した際のインタビューで「シンガポールのような小さい国の選手でもすごいことができる。これをきっかけに、シンガポールのスポーツが強くなればいい」という旨の発言をしているが、実際には人口と五輪選手数との間には大きな相関がないことが理解できる。
次に図2を見て頂きたい。1990年から2015年の過去25年にわたり、東南アジアの経済は中国に次ぐ勢いで成長してきているが、この時期を含め開催された8つの夏季五輪に派遣された選手数を比較してみると、東南アジアの選手数は中国を上回る最大のペースで増加している。これから2030年にかけて東南アジアの経済が最も成長すると見込まれることから、それに伴って域内のスポーツ人口は増加を続け、域内各国が派遣する五輪選手数も増加の一途を辿るであろうことは容易に予測される。

 

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