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ビジネスインタビュー

2008年7月21日

ハード&ソフトから最高水準のレーシックを目指し

The Lasik Surgery Clinic CEO シェリル・バウマンさん

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メガネやコンタクトレンズの煩わしさから解放されるライフスタイルを求めて、レーシックを受ける人々は更に増加傾向にある。それを好機とし、レーシックの施術を行うクリニックも増えている。シンガポールにおいて、レーシックが近年より一層注目を集めてきた理由は、マーケットリーダーとして不動の地位を築いてきたレーシックサージェリークリニック(The Lasik Surgery Clinic)の存在抜きに語れないだろう。シンガポールメディカルグループ創立者で社長、レーシックサージェリークリニックのCEOのシェリル・バウマン氏に立役者としてのサクセス・ストーリーを伺った。

 

世界が注目するレーシッククリニック

同クリニックでは、2007年度中、シンガポール国内だけで16,089件という膨大な症例実績を上げた。当地のマーケットの規模からしても驚きに値する数であるが、この実績は世界にも通用するものとなった。世界中で年間1,100万件を超えるレーシック手術のうち、800万件の施術に使用されたとされるVISX機とイントラレース機の製造会社、アドバンス メディカル オプティクス(AMO)社は、2007年に同社製VISX機を使用した症例数世界一を称え、今年6月に同クリニックに表彰状を贈った。

 

「シンガポールは、アジアの中でも台湾に次いで近視率の高い国です。2005年にこのクリニックを開設するにあたり、先が見えているビジネスだとアドバイスされたこともありましたが、当時レーシックの認知度は低く、マーケットには潜在的なニーズが十分あると信じていました」と、シェリル氏は当時を振り返りながら、「臓器の中で脳の次に複雑な構造を持つとされ、人間の五感をつかさどる器官の中で最も大事なものが目だと考えます。視力が回復するということは、その人に自由を与えてくれるという信念があったからかもしれません」とその目を輝かせて語った。が、その思いだけでこの偉業が達成できたのではないことは言うまでもない。

 

最高峰のレーシック技術を導入

前述のAMO社の機器によるレーシック手術、つまりVISXアドバンス カスタムビュー ウェーブフロントレーシック(※1)とイントラレース(※2)を組合せた施術は、いわば過酷な環境下で安定した視力の問われるNASA(アメリカ国立宇宙局)の宇宙飛行士や、米国海軍トップガンパイロットの為に唯一承認されたレーザー視力矯正法ということからも、その精巧な技術力が証明されている。

 

同クリニックでは、レーザー視力矯正における最新技術を搭載したAMO社製の機器を使用する。「目に手術をするなんて、と躊躇する方々が未だいる中で、経験豊富な医師が施術を担当し、高い技術力でその性能が保証された精密機械を使うことは、クライアントからの信頼と我々の自信に繋がります」と語るシェリル氏は、急速に進歩するレーシック技術に追随するために、最新機器の導入や技術力向上のための努力を惜しむことはない、と胸を張る。

 

眼科医療専門家とスタッフの安心ケア体制

シンガポール最大級のレーシック専門クリニックである同クリニックには、国内でも権威として知られる眼科医をはじめ、看護士、眼科検査技師のチームと、日本語をはじめ、多様な言語で対応するメディカル・コンシェルジェの連携で、クライアント一人一人に万全の体制で対応できる配慮もされている。1年で16,089もの眼の手術をこなすというのは、並大抵のことではない。スタッフ全員のチームワークと、それぞれが果たすべき役割をプロとして全うできる環境があるからだとシェリル氏は語る。常にクライアントが治療のプロセスやアフターケアについて疑問を残さない様、徹底した対応をとる。そのことが功を奏してか、去年のデータでは、再手術が必要なケースは全体の2.08%、感染症の問題は0%と、世界水準より数倍低いリスク率を達成している。

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世界水準のマネジメントを誇れる企業として

シンガポールメディカルグループ(SMG)は、レーシッククリニックの他、その傘下に、デンタルスタジオ、スポーツメディスンセンターなど4つのクリニックが含まれている。2005年に氏がSMGを開業してから、わずか3年の間にここまで急成長を遂げた。ベストを目指す氏は、マネジメントへの妥協もなく、2007年には、国際標準化機構(ISO)から発行される品質マネジメントシステム規格ISO9001:2000の認証を取得した。この規格は、商品やサービスを創り出すプロセス、マネジメントに対して、厳しい規格に基づく審査をパスした企業のみ取得できる。シェリル氏の姿勢の賜物と言っても過言ではないだろう。

 

また、自社出版したレーシックの全てを解説する『Vision Reborn』を書店やクリニックで販売、収益のすべてをレーシック技術向上のための研究機関に寄付するなど、企業として積極的に教育プログラムの一端を担う。

 

ドイツにて法律の分野でPh.D.を修め、結婚を機にシンガポールに来星した氏は、中国にルーツを持つドイツ人だ。「私が医者でないと知ると驚く方が多いですが、実は、我々のビジネスの成功のカギはそこにある。通常のクリニックは、医者が治療の現場とビジネスマネジメント双方を受け持つケースがほとんどです。こちらでは、私が治療以外のビジネスマネジメントの部分を全て請け負い、専門家である医師が治療に専念できる環境を作ってきたのです」と語る。しかもシェリル氏は、オフィスに籠るタイプのCEOではなく、クリニックに常に顔をだし、クライアントに語りかけ、常に現場の状況を確認する時間を厭わない。2ヵ月前に第一子を出産したばかりとは信じられないほど華奢な彼女にとって、クリニックも自らのベビーと同じだと笑う。

 

あらゆる取り組みの成果として、一流の技術とプロのチームが提供する5つ星のサービスを、3つ星の料金で提供できることが誇りだと言う。50%を超える新しいクライアントが口コミでこのクリニックを訪れる好循環ゆえに可能になったことだ。この成功のストラテジーをもって、フィリピンにクリニックを開設した他、来年には日本に進出する予定もあり、将来は世界的に展開を図りたいとするシェリル氏。世界で活躍するシンガポール発の新たなビジネスリーダーとして見参する日は近い。

 

(*1)VISXアドバンス カスタムビュー ウェーブフロントレーシック:角膜にレーザーをあてて視力を矯正する機器

(*2)イントラレース:角膜を覆う膜にレーザーをあて、フラップ(ふた)を作る機器

The Lasik Surgery Clinic
290 Orchard Road, Paragon #13-01/06, 238859
TEL:9842-1000(日本語専用)
E-mail:doctor_jp@lsc.sg

290 Orchard Road, Paragon Singapore 238859

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.126(2008年07月21日発行)」に掲載されたものです。
文=桑島千春

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