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シンガポール星層解明

2016年6月6日

未知なる可能性を秘めたシンガポールのネット小売市場の展望

 

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アリババ、オンラインショップのラザダに10億米ドル出資し筆頭株主に (2016年4月13日)
https://www.asiax.biz/news/37382/

転換期を迎えたシンガポールのインターネット小売市場

シンガポールのインターネット小売市場(以下、ネット小売市場)が転換期に差し掛かったことを示唆するニュースが続いている。日本最大のネット小売企業である楽天がシンガポールのマーケットプレイス(ネット上の取引市場)の閉鎖を表明してから2ヵ月後、中国最大手のアリババ・グループがシンガポールを拠点に東南アジアの6ヵ国で事業を展開する同業のラザダに、アリババにとって国外では過去最高となる10億米ドル(約1,080億円)を出資して経営権を取得すると明かしたのだ。

 

楽天は2013年に自前で事業を開始してから2年半足らずで撤退することになった。同じくアリババも2013年にシンガポールを拠点に東南アジアで事業を開始、業績は長らく不振だったものの、ここにきて域内大手同業への出資を決めるなど成長戦略へ大きく舵を切っている。この対照的ともいえる両社の動きの背景には、今後の市場を占う上で重要な要素が含まれていると考えるのは筆者だけではないのではないか。
本稿では、シンガポールにおけるネット小売市場の現状を日本と比較をする形でお伝えすると共に、市場拡大に向けたカギを考察していきたい。

 

シンガポールのネット小売市場はアマゾンジャパンの売上高の10分の1

まずシンガポールのネット小売市場の規模を俯瞰してみる。前提となる小売市場全体は、日本が2015年に約114兆9,700億円であるのに対し、シンガポールは約2兆6,430億円(約330億Sドル)にとどまる。

 

この中でインターネット上の取引額、すなわちネット小売市場は、日本の約8兆2,700億円に対してシンガポールは約1,087億円(約13億7,000Sドル)と僅かな規模である。日本で楽天に次ぐアマゾンジャパンの2015年の売上高が約1兆円であることから、シンガポールのネット小売市場はアマゾンジャパン1社の売上高の10分の1と言えば規模感がつかめるだろう。(市場規模はユーロモニターを参照)

 

また上記から小売市場全体におけるネット小売の割合、すなわちEC化率は日本の7%に対してシンガポールが4%となっている。日本のEC化率が2010年に4%であったことを踏まえると、今日のシンガポールの市場は、5年前の日本に似た様相と言えるかもしれない。

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