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新規進出企業レポート

2016年4月18日

クラウドで効率的に名刺管理  転職多いシンガポールでは需要旺盛

Sansan Global PTE. LTD.

ビジネスの場で日々行われている名刺交換。最初はエクセルに名刺情報を入力したり、管理ソフトを使ったりしていたが、途中で面倒になってしまった、という経験を持つ方もいるのでは。また転職の多いシンガポールでは、短期間で担当者が職場を去ってしまい、当人が持っていた名刺を管理できなくなることも多いようだ。

 

こうした中、名刺管理ソフト「Sansan」を展開するSansan株式会社は、昨年10月にシンガポール拠点を設立した。本社の設立は2007年で、日本国内のクライアント企業は約4,000社。シンガポール拠点は、アジア太平洋地域のハブという位置付けだ。「シンガポール市場は小さいものの、リージョナルヘッドクォーターが多くあります。またビジネスパーソンのITリテラシーも高く、名刺交換の文化もあります」と、シンガポール拠点のCOO稲葉陵太氏は拠点設立の背景を説明する。

 

 

「名刺には大事な情報がたくさん詰まっています。それをクラウドで一括管理し社内でシェアすることで、いつでもアクセスできるようになります」稲葉氏はこう強調する。Sansanのデータベースには携帯からもアクセスできるため、出張先でも簡単に名刺情報を検索できる。
スキャニングの正確さも強みという。名刺管理ソフトによっては、スキャナーで読み込んだ後、自分で読み取りミスを修正しなければならないものもあり手間がかかる。Sansanの場合、専用のスキャナーで名刺を読み込んだ後、データをオペレーターがチェックする体制。このため名刺情報の約99%を正確にデータ化できるという。

 

2,000枚まで月額60Sドル まずは多くの企業に

 

稲葉氏によると、シンガポールの商習慣は日本に似ているという。「シンガポールでビジネスをするには、『あの人を知っているか』など、豊富な人脈が大事になります。知らない人にコンタクトしても、軽くあしらわれてしまうことが多い一方、社内の人脈を活用することでうまくアプローチできることも多いのです」。

 

また転職が頻繁なシンガポールでは、担当者が退職する際に名刺を持ち出してしまい、業務に支障が出ることも珍しくない。こうした点からも、シンガポールでは名刺情報の管理については旺盛な需要があるとの見方だ。

 

「名刺を机の引き出しに入れたままにしてしまい、せっかくの人脈情報が埋もれてしまうこともシンガポールではよくあります。ただきちんと管理できれば、会社の資産になると理解している人が多いのも事実です」(稲葉氏)。

 

シンガポールでの料金体系は、ユーザー1人ごとに課金する日本と異なり、月額60Sドル(約5,000円)で名刺を2,000枚まで取り込むことができる。まずは多くの企業に使ってもらいたいとの考えから、データベースのアクセスコントロールを省略するなど、機能を簡素化することで低価格を実現した。

 

「ASEAN諸国だけでも日本の5倍以上の人口がある」と、ASEAN市場の可能性に注目する稲葉氏。今後はシンガポールを拠点に、アジア太平洋地域への展開を強化する構えだ。

 

 

会社プロフィール
クラウド名刺管理ソフト「Sansan」の開発・販売を行うSansan株式会社のシンガポール現地法人。Sansanのマーケティングや営業活動などを行う。
Sansan Global PTE. LTD.

128 Prinsep Street #01-01 Singapore 188655
Tel: 9860-4752

 

取材後記

稲葉氏は日本の高校を卒業後、アメリカの大学・大学院を卒業、現地のインターネット企業でキャリアをスタートした。前職の日系インターネット企業では、インドネシア拠点の立ち上げ責任者を務めるなど、海外勤務の経験は豊富だ。

 

これまで剣道、柔道、空手などで体を鍛えてきたという稲葉氏は、前職から「ポパイ」の愛称でクライアントからも親しまれている。「Ryo」の発音がイングリッシュスピーカーには難しいのに比べ、ポパイという愛称は覚えてもらいやすく、気に入っているという。

 

座右の銘は「和魂洋才」。海外勤務で培った経験を活かしながら、日系企業のグローバル展開に貢献したいと語る。

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