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会計・税務相談

2016年4月18日

Q.残業手当や休日出勤手当の計算方法について 教えてください。

給与計算について

A:残業手当や休日出勤手当は、雇用法の第4章に規定されており、この規定の適用対象者に関しては、雇用法の規定を必ず遵守しなければなりません。

 

雇用法の第4章は、以下の従業員に適用されます。
a)月額基本給が4,500Sドル以下の肉体労働者
b)月額基本給が2,500Sドル以下の肉体労働者以外の従業員
ただし、これらの従業員を管理・監督し、残業や休日出勤を指示する立場にある管理職は、対象外とされています。

 

◆契約上の労働時間
雇用契約による労働時間は、原則として1日8時間以下、週44時間以下と定められています。週休2日以上の場合には1日9時間以下の就労が認められますが、その場合も週44時間以下の労働時間を守らなければなりません。また、残業も含めた1日の労働時間は最長12時間まで、1ヵ月の残業時間は最長72時間までと定められており、この時間を越えて就労させなければならない事態が生じた場合には、人材開発省(MOM)に事前申請する必要があります。

 

◆残業手当
残業手当は、契約上の労働時間を越えて働いた時間について、時給の1.5倍の金額を支給することとされています。
残業手当の計算は、以下の計算式によって算出されます。
(月額基本給 × 12ヵ月)/(44時間 × 52週) × 残業時間 × 1.5
雇用法では、残業手当の計算に使用する時給の上限を11.80Sドル(月額基本給2,250Sドルの場合の時給)と定めており、基本給がこれを超える場合には、時給を一律11.80Sドルと見なして残業手当を計算してよいとされています。

 

◆休日出勤手当
一口に休日と言っても種類があり、それぞれ取り扱いが異なります。
1)休息日
休息日は、通常は日曜日ですが、従業員の健康管理のために週に1日必ず与えなければならない休日です。会社は、週の曜日の何れかを休息日として定めるか、そうでない場合には、毎月1日までにその月の休息日を従業員に通知しなければなりません。休息日に会社の都合で従業員を出勤させる場合には、半日以下の出勤について1日分の給与、半日を超える出勤について2日分の給与を支給します。契約上の1日の勤務時間を越えて働いた時間については、残業手当と同じ金額を支給します。
2)休息日以外の会社の休業日
土日を週休とする会社の土曜日のように、休息日以外に雇用契約で定められた会社の休業日に従業員を出勤させた場合には残業と同じ取り扱いになり、出勤した時間について時給の1.5倍を支給します。
3)祝日
祝日は、1)2)と異なり、有給休暇とされています。祝日に出勤させた場合には、1日分の給与を追加して支給します。契約上の1日の勤務時間を越えて働いた時間については、残業手当と同じ金額を支給します。なお、雇用主と従業員がお互いに合意している場合には、祝日出勤手当を支給する代わりに、1日分の有給休暇を別途与えることもできます。

 

◆月の途中に入社・退社した従業員の給与の計算
月の途中に入社・退社した場合には、以下の計算式により給与を計算します。
当月の月額給与/当月の営業日数 × 当月の出勤日数
上記の計算で、休息日および会社休業日は営業日数に含めませんが、祝日は有給休暇であるため、営業日数にも出勤日数にも含めて計算する点にご注意ください。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.300(2016年4月18日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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