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星・見聞録

2016年4月4日

シンガポールのお酒事情

シンガポールの日本酒事情-INTERVIEW-

先の統計にも見られるように、近年シンガポールで盛り上がりをみせる日本酒。数年前と比べて状況はどう変化しているのか、当地で日本酒の輸入および卸売りを行い、また酒屋兼バー「折原商店」や焼き鳥店「酉玉」を経営するORIHARA(PTE.)LTD.の髙田博孝さんにお話を伺いました。

 

-当地に進出された頃の状況についてお聞かせください
我々が進出した2008年頃、シンガポールでは「黄色い」日本酒が出回っていました。日本酒は紫外線の影響で、変化すると黄色になるんです。日本酒は冷暗保管が基本ですが、シンガポールで好んで飲まれていたお酒はウイスキーやビールなどが中心のようで、あまり温度を気にしないで取り扱っていたようです。そんな中、日本酒も同様に扱われていたようで、日本酒とはそういう風味・色だと思われていたんです。またその頃飲まれていた銘柄は、日本でCM放映されているような大手のメーカーのものがほとんど。地酒と言われるものはまだ飲食店ではほとんど扱われておらず、デパートに八海山や久保田などが一部並んでいる程度でした。

 

-現在、人気の日本酒の品質管理に対する意識は改善されているのでしょうか
品質管理については、流通業者はもちろん、お酒を提供するお店側も冷蔵庫を用意するなどの投資が必要になります。吟醸酒など繊細な香味を楽しむ酒や、フレッシュな風味が特徴の生酒などの日本酒は冷蔵管理が基本であり、管理の方法によって全く味が変わってしまうこと、この点を理解してもらうことに大変苦労しました。最近ではやっと一定の理解を得られ、結果として品質保持の向上につながっていると思いますね。

 

-当時と今を比べて、ローカルの人々の日本酒に対する認識に変化はありましたか
以前、梅酒はシンガポールの人々に「チョーヤ」と呼ばれていたんですよ。「梅酒」という名前自体も認知されていない状態だったんです。ところが現在では輸入される地酒の種類も増え、シンガポール人の日本酒に対する知識のレベルは相当高くなっていると思います。また、日本酒そのものを好意的に捉えてくれる人が多いとも感じます。

 

-シンガポール人の好きなお酒の特徴を教えて下さい
暑い国なので、熱燗に合うようなお酒は好まれない傾向にありますね。軽くてスッキリ、香りが華やかなもの、例えば純米吟醸酒、大吟醸酒が好まれる傾向にあると思います。もともと日本酒は食中酒であり料理と一緒に楽しむという考え方が一般的ですが、シンガポール人は食事の際にアルコールを飲まない方が多いので、食後に楽しめるものが人気です。

 

-当地では今も日本食レストランが人気ですが、今後も和食ブームに乗って日本酒も広がりをみせると思いますか?
和食レストランと日本酒が全く同じ広がりを見せるとは思いませんが、日本酒はやはり日本の食べ物に合うお酒なので、和食の人気が日本酒の人気を後押しする部分はあると思います。そういう意味では、和食の人気がある場所で日本酒が売れる、と言えるのではないでしょうか。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.299(2016年04月04日発行)」に掲載されたものです。
取材=長島 清香

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