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新規進出企業レポート

2014年12月22日

シンガポールに拠点を再設置。情報と制御技術を東南アジア市場へ

SEIKO ELECTRIC Co., LTD.

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電力、環境エネルギー、情報、電子制御機器などの事業を行う株式会社正興電機製作所が2014年7月、シンガポールに駐在員事務所を設立した。本社は福岡市博多区にあり、九州を中心に発電所や変電所関連の設備、上下水道システム関連の設備などを手がけてきた。現在は日本に16の営業所を展開し、海外ではシンガポールのほかに中国・北京、大連、マレーシア、フィリピンに製造、製品開発、販売の拠点を置く。

 

情報と制御の技術に強みを持ち、安定した電力の供給をサポートするために環境にやさしく省エネに優れたインフラ設備やエネルギーマネージメントシステム、情報システム事業など多岐にわたる分野へ進出、制御とITシステムの融合をめざしている。シンガポール駐在員事務所代表の松原崇廣さんは、シンガポールをはじめ東南アジアで、同社の技術の活用が期待できる分野として、インフラ設備向けエンジニアリング、エネルギーマネージメントシステム、コンテナターミナル、倉庫、海運貨物取扱業者向け港湾関連ソフトウェア事業を挙げる。

 

そのほか水質管理の分野において、九州大学との産学協同によりユニークな研究が行われ、すでに実用化されているという。「水質監視装置としてメダカを使った水質チェックがあります。水中の有害化学物質に反応したときのメダカの行動を分析することで、水質の異常を発見します。通常の水質チェックに使われる化学薬品では検出されにくい異常も感知することが可能です」。

 

長年稼働する海外拠点で育ったローカル人材を活かす

シンガポールには2004年まで同社の現地法人があり、松原さん自身が駐在していた。

 

「当社はマレーシアのジョホールバルに25年前から拠点を持っており、統合という形でシンガポールの拠点は閉鎖しました。しかし、やはり今、注目を集める東南アジア市場に攻勢をかける必要があることと、情報が集まりハブとして機能するシンガポールに拠点を置いたほうがいいということで、駐在員事務所を再び置くことになりました」。

 

シンガポールの事務所はマーケティング拠点として機能させ、数年後には営業拠点とすることを目指す。

 

「現在、シンガポールでは主に日系企業を訪問しています。これまで、当社の日本および海外拠点では、それぞれの国で製造したものをその市場で売るといったように、拠点がある地元に特化して業務を進めてきました。これからは複数国間でも業務を展開しなくてはと考えています。例えば、日本の商材を東南アジアで販売するといった具合です。この市場と市場をつなぐ“横展開”にシンガポールの立地は優れています」。

 

同社はマレーシア、フィリピンなどすでに長く稼働している海外拠点を持つ。海外に進出する日系企業の課題とされる現地化がうまく進んでいるケースといえそうだ。

「それらの拠点では長年勤務しているローカルの人材がおり、現地で管理職に就いているスタッフもいます。これらの人材を持つことは当社の強みであり、シンガポールでの事業をはじめ有効に活用しなくてはと思います」。

 

会社プロフィール

株式会社正興電機製作所は、1921年(大正10年)5月に創業後、株式会社日立製作所からの技術援助を受け配電盤などを製作。現在、情報と制御の独創的な技術で電力、環境エネルギーなど多岐にわたる分野で事業を展開している。本社は福岡県福岡市博多区。従業員906名(連結/2014年7月31日現在)。

SEIKO ELECTRIC Co., LTD.
80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898
TEL:6420-6815

 

取材後記

入社してから間もなくシンガポールに駐在し、海外経験を積んだという松原さん。「当時TOEIC200点からのスタートでした。12年前はマリーナベイサンズもなく、今のシンガポールとは別世界です」。その後、フィリピンに計5年半駐在。「東南アジア勤務で学んだことは、Never Mind精神ですね」。

シンガポールには家族で赴任。「休日はもっぱら2人の子どもの相手をしています」。

座右の銘は「七転び八起き。これまでいろいろ挫折も経験してきました。そのたびに『ドラゴンボール』のスーパーサイヤ人のように強くなれると思って頑張ってきました」。

80 Robinson Road Singapore 068898

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