シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPクラウドなどで日本との連携強化 今後はローカル企業もターゲットに

新規進出企業レポート

2016年3月21日

クラウドなどで日本との連携強化 今後はローカル企業もターゲットに

Nippon Jimuki Co., Ltd

シンガポールを含めアジアに進出した日本の企業の中には「電話やメールだけでは、海外拠点の動向を把握しきれない」といった悩みを抱えているところもあるようだ。

 

日本と海外拠点のシステム連携を強化したいというニーズに応えるため、システムインテグレーターの老舗である日本事務器は、2015年にシンガポール駐在員事務所を立ち上げた。同社は以前からグローバル展開に向け、東南アジアでの拠点設立を検討しており、海外事業所の立ち上げは今回が初となる。

 

シンガポール拠点は、海外に進出する日本の中小企業らに対してサービスを提供していく。長期的にはアジア太平洋地域へ展開していく考えで、田中啓一社長は「日系企業の海外進出の動きを1~2年先読みし、体制を整えていきたい」と話す。

 

日本事務器の設立は1924年、計算機やタイプライターの取り扱いから始まり、近年ではクラウドサービスなども手掛ける。Google Appsといったクラウド型のグループウェアなどを活用することで、海外拠点とも円滑なやり取りができる。日系企業の中には、海外拠点とのコミュニケーションのために日本国内の海外部門を通さなければならないところも多く、やり取りに時間がかかりがちという。クラウドを活用すれば、社員全員でスケジュールを共有することが可能になり、日本からでも海外の状況をより簡単に把握できるようになる。

 

シンガポール事業所代表の桝谷哲司氏は、日本企業の海外展開について「海外拠点の日々の活動を情報として共有していくことは、企業にとってますます重要になる」と指摘。そのうえで「必要な情報を、いつでもどこでも利用できることが事業運営の重要な要素になる。情報管理が大きなビジネスチャンスにつながるだろう」と話す。

web_IMG_9153-(2)

 

シンガポールで進む業務IT化
IoT機器にも注目

日本事務器は日系企業の支援にとどまらず、シンガポール市場にも注目している。少子高齢化が進む中、生産性の向上などに向けITの活用を進めている同国では、業務の効率化や人手不足の解消などに向け、クラウドソーシングやサービスロボットを導入する企業も増えている。

 

日本事務器が注目している技術のひとつが、ビーコン(発信機)などのIoT(Internet of Things:インターネットを介し、通信機器以外の物品を自動認識・制御する)機器だ。例えば、店内のキャビネットにビーコンを張り付けておき、客がその前に行くとビーコンに保存されているデータが客のスマートフォンに表示される、といった使い方ができる。

 

「IT技術の進歩で、人間の仕事を自動化できるようになる」と、日本事務器はIoT技術などへのニーズは高まっていくとの見方。今後はシンガポールのローカル企業もターゲットにしていく考えで、現地採用者も増やすことで体制を強化する方針だ。

 

会社プロフィール
システムインテグレーターの日本事務器のシンガポール事業所として、日系企業の海外進出サポートや近隣国市場でのマーケティング、広報活動などを担当。

Nippon Jimuki Co., Ltd
80 Robinson Road Singapore 068898
Tel: 6420-6252
www.njc.co.jp

取材後記

日本では営業からキャリアをスタート、本社経営企画部で社内IT環境の構築やメディア戦略などの広報に携わってきたという桝谷氏。海外展開を進めるうえで、広報の経験を活かしていきたいという。

 仕事のモットーは「常に顧客目線に立つこと」。どのようにシステムを運用すれば、クライアントの利便性が高まるか、常に考えて行動しているという。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPクラウドなどで日本との連携強化 今後はローカル企業もターゲットに