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新規進出企業レポート

2013年10月31日

乳製品を扱う老舗専門商社、日本仕様の原料とサービスを

日成共益株式会社 NISSEI KYOEKI Co.,Ltd.

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創業80年の歴史を持つ専門商社、日成共益株式会社が今年7月、シンガポールに事務所を設立した。1932年に粉ミルクの原料となるミルクカゼイン(乳たんぱく質の一種)の扱いから始まった同社は、食品、化学品、建材を扱う専門商社となり現在に至っている。

 

これら3つの分野は一見、無関係のようだが実は共通点がある。主にニュージーランドから輸入されるミルクカゼインを乳製品、製菓、調味料などさまざまな食品メーカーに販売する一方、化学品として製紙メーカーでは紙のコーティングに使われている。さらに建材ベニヤ板の接着材として使われているのだ。

 

シンガポール駐在員事務所の中込剛所長は、シンガポールでは当面、ミルクカゼインをはじめとする乳製品分野での取り扱いを進めたいと話す。

 

「この2年ほどで日系企業の成長著しい東南アジアへの進出が加速してきました。取引のある食品メーカーが東南アジアに工場を建設するタイミングで、当社もシンガポールに進出することになりました。サプライヤーから仕入れている原料を、日本だけでなくアセアン10ヵ国で販売していこうと考えています。特にマレーシア、インドネシア、タイは重要な市場です」。

 

海外での生産現場における、日系企業のこだわりに応える

競争が激しい業界の中で、同社の強みは日本仕様の原料とサービスを提供できることだという。

 

「例えば食品メーカーなどでの商品の開発は一般に日本で行われます。それゆえに日系の食品メーカーは、海外で生産する場合でもやはり日本仕様の原料へのこだわりを持っています。そうした要望に応えていくのが当社の役目です」。

 

乳製品のほか、業務用のコーヒーも取り扱っている。

 

「インド南部で生産されたインスタントコーヒーを業務用に販売しています。冷水にも溶けるインスタントコーヒーです」。

 

今後の業務について、まずはコネクションをつくることから始める必要があると中込さんは語る。

 

「シンガポールではまだコネクションを持っていないので、日本からのコネクションを大切にして広げていきたい。今は食品関連の見本市へ出かけて営業をしています。あと、東南アジアで仕事をするなら、やはり中国語を習得しなければいけないと感じています。シンガポールをはじめ、東南アジアではマレーシア、インドネシアでもビジネスの相手が華人という場合が多いので、英語でもいいのですが、より深く付き合うためには中国語は必須だと思います」。

 

2年後にはシンガポールの駐在員事務所の現地法人化をめざす。

 

「将来的にはシンガポールで化学品の分野でも業務を展開したい。日本の中小企業の中には海外進出をしたいと思っていても、ノウハウがないため実行できない会社があります。ゆくゆくはそんな中小企業の海外進出コーディネートなども手がけることができればいいと思っています」。

会社プロフィール

日成共益株式会社は1932年(昭和7年)創業。本社は東京都千代田区神田美土代町。乳たんぱく(ミルクカゼインなど)や乳糖(ラクトース)の取扱量は日本でトップクラスのシェアを持つ。中国に関連会社の上海日成共益貿易有限公司がある。

日成共益株式会社 NISSEI KYOEKI Co.,Ltd.
80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898
TEL:6420-6395

 

取材後記

中込さんは大学で化学を専攻した後、製菓メーカーの研究所で菓子の開発に携わっていた。「チョコレート、ビスケット、アイスクリームなどいろいろ開発しました」。

日本から愛犬のマルチーズを連れて来星。「シンガポールに来て間もない頃、いろいろな人がいるのを見て、なぜかよく吠えるようになりました。最近は慣れてきて吠えなくなりましたが」。

趣味はテニスで、シンガポールでも大会に参戦。「かなり大規模かつ国際色豊かなオープントーナメントで、最上位のカテゴリーAにはフィリピンから元デビスカップ代表選手も出場していました」。

 

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80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898

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