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新規進出企業レポート

2013年1月30日

「TEAM日本」を強くするデジタルコミュニケーション

Clisk Singapore Pte. Ltd.

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Clisk Singapore Pte. Ltd.のCEOとして2012年9月にシンガポールに赴任した山根豪太さんは、日系企業と仕事をする中でショックを受けることがあったという。

 

「日本の企業が海外に進出するときは、しっかりマーケティングをしているものと思っていました。しかし、いわゆるマーケティングの4P(Product、Price、Place、Promotion)のうち、Promotion(プロモーション)を考えることなく進出している企業が多いことに驚きました。日本での認知度にあぐらをかいているような気さえしました。例えば、欧米や韓国の企業はマーケティングに多額の予算を割いていますが、そのような相手に予算や計画という武器を持たずに、日本企業はいったい何ができるでしょうか?広告を出せば売れるのではなく、また良い商品を作りさえすれば売れるのでもなく、様々なことが複雑に絡み合っているのだと思います。もし成果を出せず、撤退となってしまうのであれば、それは非常に残念なことです」。

 

マーケティングと聞くと、一般に市場調査や宣伝・広告というイメージがあるが、山根さんの捉え方は違う。

 

「マーケティングは、市場調査や広告だけにとどまりません。商品開発、人材採用といった企業活動のあらゆることが、マーケティングに入ると思っています。消費者の視点に立った業務、消費者との対話に通じる活動はすべてマーケティングに含まれる、というのが私の考えです」。

 

無名の品でもウェブを通じ、消費者に浸透

ウェブマーケティング全般を手掛ける株式会社クリスク(本社・東京都)が2010年、タイのバンコクにClisk Co.,Ltd.(Thailand)を設立。アジア圏で引き合いが増えたため、域内市場を積極展開するために2012年9月、シンガポールに拠点を構えた。そして、現在はデジタルを軸としたマーケティング支援を行っている。

 

「ウェブ広告は得意とするところなのですが、あえて特化せず、『なんでもやります』というスタンスです。日本からこちらへ来る時、ある尊敬している方からなんでもやったほうがいいというアドバイスをいただきました。今まさにその言葉を実感しつつ、日本の企業が日本国内で展開する際のマーケティング支援、シンガポールに進出を考える日本企業や、シンガポールの企業の支援といったように、いろいろなお客様との案件に対応しています」。

 

1996年からインターネットにのめり込み、デジタルコミュニケーションの力を体験してきた山根さんは、中小企業にこそデジタルマーケティングが適していると語る。

 

「テレビで宣伝される大企業の大量生産品だけでなく、地方の小さな企業がつくる製品でも、ウェブで消費者とコミュニケーションがとれれば認知度を高めることができます。消費者の生の声を伝え、いいもの、いい技術、いいサービスを知るべき人に届けることができれば、企業規模に関わらず効果は出ると考えています」。

 

タブレット、スマートフォン、ソーシャルネットワーキングなど消費者の生活スタイルが多様化する中で、デジタルコミュニケーションが果たす役割はますます重要になってくる。

 

「日本では大手企業でも、デジタルマーケティングに振り分ける予算はわずか数%といわれています。もちろん企業によって業界の位置や戦略はあるものの、デジタルライフがこれほど浸透している現代において、デジタルコミュニケーションを駆使してこそ日本企業が、『TEAM日本』が強くなれると思うのです」。

会社プロフィール

2012年9月設立。企業を対象にデジタルコミュニケーションを用いたマーケティング支援が主な事業ではあるが、「今はいい意味で事業が定まっていない状況。デジタルにこだわらず、柔軟に対応します」(CEO山根さん)。クリスク(Clisk)という社名はClick + Scroll = CLISKという造語で、ユーザーがサイトをクリック(click)し、さらにページをスクロール(scroll)したくなるような情報の発信・デジタルマーケティングの展開を図る企業を支援する、という意味が込められている。

Clisk Singapore Pte. Ltd.
80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898
TEL:9385-0251
E-mail:yamane@clisk.com

 

取材後記

カナダの大学でマーケティングを学んだ山根さん。日本でホテルマンとして働いた後、英会話学校や子ども向け職業体験テーマパークなどでマーケティング業務に携わっていた経歴をお持ちです。「英会話学校で働こうと思ったのは、日本の国力を上げるには日本の英語力を上げることが必要だと思ったからです。子どもを対象にした会社で働こうと思ったのも、子供がしっかりすれば、将来の日本が強くなると考えたから。山口県萩市の出身なので、やはり国をなんとかしたいと思う長州の血が流れているのでしょうか(笑)」。

座右の銘は「蛍雪です。言い訳せず常に勉強することを信条としています」。

シンガポールへは、奥様と5歳の女の子と4歳の男の子もいっしょにご家族連れで赴任。「いつも帰りが遅いので休みの日は家族サービスで子供と遊びます。二日酔いで寝ていると子供に怒られて起こされます(笑)」。

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