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新規進出企業レポート

2012年11月2日

アジアパシフィックの要衝から顧客企業と共に成長する

First Spring International Pte. Ltd.

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事業を展開する際に、法令や規則、社会規範などの基本的なルールに従う、いわゆる企業コンプライアンスは、至極当たり前のことのように思われる。しかし実際には、必要な手続きが見逃されていたり、本来の業務に埋もれて実行できていないことがままある。そのような不注意や情報不足による法令違反など、コンプライアンスリスクは法務部を持つ大企業よりも、中小企業でより高いといえる。

 

ファースト・スプリング・インターナショナルは、中小企業を対象にコンプライアンスリスク管理を支援する会社として、今年9月末にシンガポールで設立された。マネージング・ダイレクターは税理士の岡村宗男さん。2010年8月に日本で独立して事務所を構えた時から、シンガポールへの進出を視野に入れていた。

 

岡村さんがシンガポールをビジネスの舞台として初めて意識したのは、米系大手IT企業に勤務していた頃のこと。長らく日本がアジアパシフィックのリーダーと見なされていたのが、ある時シンガポールに取って代わられ、社内での序列が変わっていくのを目の当たりにした。

 

「シンガポールの方がなぜ競争力が高いのか、当初はよくわからなかった」ものの、アジアの国でありながらビジネスでは英語が使われ、インフラも整備されていて、政府が強力なリーダーシップを持っていること、などがこの国の強みであることが見えてきた。今後も成長が見込めることから、海外での展開先をまずシンガポールに定めた。

 

現地の実情を把握し、日系中小企業をサポート

シンガポールでの会社設立は、独立後すぐに着手していたものの予想以上に時間がかかった。納期を必ず守ることや、問い合わせに対する迅速な対応、かゆいところに手が届くきめ細かなサービスなど、日本では当たり前だったものが、日本を出ると当たり前ではないことが多い。岡村さんも実際の経験から身を持って理解した。

 

「海外で事業を展開するには、現地エージェントとのコラボレーションが必要になります。会社設立の過程でさまざまなことを経験したおかげで、クライアントに対しても実情を踏まえたアドバイスが提供できるようになりました」。

 

いろいろ失敗し苦労もしたが、それらを成長のステップにできた、とポジティブに捉えている。

 

今後3~5年の間に、進出国を複数に増やすことが目標。人口が多く、日系企業による投資の増加が見込まれるインドネシアやインドでの事業展開を検討している。また、中国へ進出する日系企業をサポートするために、台湾への進出も考えている。社名のファースト・スプリングは中国語表記では「初春」とすることも既に考えている。

 

座右の銘は「努力」。「クライアントと共に、同じ経営者として悩みを共有しながら、一緒に成長していけたらと思っています」。

会社プロフィール

シンガポールなどASEANに進出する日系企業のコンプライアンスリスク最適化をサポート。シンガポールをはじめ投資先国での税務申告・タックスプランニング、会計アウトソーシング、法人設立・維持手続き、就労ビザ・永住権取得サポートなど、海外でビジネスを行う際に必要となるコンプライアンス業務全般をカバーしている。

First Spring International Pte. Ltd.
80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898
TEL:9428-0089
E-mail:muneo.okamura@firstspring.org

 

取材後記

日本でも税理士事務所を経営し、シンガポールと日本を毎月のように行き来しているという岡村さん。シンガポールでは家族と離れて一人で過ごすため、不便もあるものの「家族のありがたみがわかって良かった」。ビジネスのやり方など勝手の違いに戸惑い、ちょっとくたびれてしまった時でも、クロスコープのオフィスに戻って、スタッフの温かい笑顔に迎えられるとほっとするそうです。穏やかな表情で、インドやインドネシアへの事業展開に対する強い意欲を語られる姿が印象に残りました。

 

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80 Robinson Road Singapore 068898

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