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来星記念インタビュー

2015年12月7日

「サッカーは国や人々をつなげるコンテンツ」 -国境を超えて愛されるマンガを通じた国際交流-

漫画家 高橋 陽一氏

2015年11月12日、シンガポールのナショナルスタジアムにおいてFIFAワールドカップ2018ロシア大会のアジア2次予選、日本代表 対 シンガポール代表の試合が行われた。結果は3対0で日本が勝利、この試合を観戦するべく多くの日本人も来星し盛り上がりを見せた。
これに伴いマンガ『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が来星、『「ボールはともだち」SJ49 シンガポールツアー2015』と題し、当地でトークショーやサイン会などのチャリティーイベントを行った。このマンガがなければ、現在の日本のサッカーシーンはなかったとまで言われる『キャプテン翼』。アジア圏でも根強い人気があり、韓国、香港、ベトナム、タイ、インドネシアの5ヵ国の出版社から出版されているほか、過去にはシンガポールや台湾などでも出版された経緯がある。国境を超えた人気漫画の生みの親である高橋氏にサッカーと国際交流について、また自身の仕事について話を伺った。

 

―イベントに参加された経緯を教えてください。

僕自身の気持ちとして『キャプテン翼』というマンガを通じてアジア全体のサッカー文化を盛り上げる後押しをしたいという思いがあります。ヨーロッパはサッカーの強豪国揃いで、それこそW杯に出るのも大変だったりしますが、アジアは国によってレベルに大きな差があると思うんです。その差がもっと縮まればより激しい戦いになるし、そうなることが世界のサッカーシーンを盛り上げることにもつながると思っています。そういった中で今回、サッカーの日本代表がシンガポール代表と試合を行うことになり、この機会にサッカーを通じて日本とシンガポールの関係をもっと深められればと思いました。

 

―サッカーは国際交流のツールとなりうる、と?

やはりサッカーは世界共通のスポーツだと思いますし、今回のシンガポールと日本の代表戦に付随して、日本のサポーターがシンガポールに来たり、僕らがイベントを行ったりと、サッカー観戦だけじゃない部分での交流ができるので、ある意味サッカーというスポーツはいろいろなものや人々をつなげられるコンテンツだと思います。また『キャプテン翼』がさまざまな国で受け入れられているので、キャラクターを通じての活動が受け入れられやすいとも感じますね。

 

―『キャプテン翼』がアジアをはじめ世界の国々で受け入れられている要因をどうお考えでしょうか?

アニメのキャラクターはある意味無国籍なので、アジアだけでなくヨーロッパなどでも自国のキャラクターのようなイメージを持ってくれているのではないかと思います。日本では「大空 翼」という名前ですが、国ごとその国に合った名前になっていて、その辺で違和感なく受け入れられたのかなと。皆さんが自分の国のキャラクターとして愛着を持ってくれた結果だと思います。

 

―今回で何度目の来星になりますか?

2回目になります。今年の6月にシンガポール・エキスポで行われた「CharaExpo2015」というイベントに参加しまして、その時はとんぼ返りで1日の滞在でした。今回は3日間の滞在なので観光ができるかと思っていたのですが、実際はスケジュールがいろいろと入っていて、観光らしい観光はしていません(笑)。マリーナベイ・サンズに泊まっていたので、向かい側にあるマーライオンやホテルの周辺をちょっと散歩しましたね。
訪れる前はほかの東南アジアの国と比べて漠然と都会的なイメージがありましたが、実際に訪れてみても、マレーシアやカンボジアなどと比べて建物自体も近代的ですし、街に清潔感が漂っていると思いました。

 

―イベントを終えられての感想を教えてください。

今回のトークショーやサイン会は皆さんから寄付を頂いて、シンガポールの障がい者サッカー団体を支援するという趣旨だったのですが、皆さんが予想以上に積極的にチャリティーに参加してくれたというのが印象的でした。彼らは12月に行われるアジアのパラゲームズに出場するのですが、僕もイベントで一緒にボールを蹴ることができましたし、選手をより身近に感じましたね。

 

―先生は東日本大震災で被害を受けた地域の支援のためにフットサル大会を開催されるなど、日本でも積極的にチャリティー活動をされていますね。

そうですね。私のマンガを読んでも読者の方のお腹がいっぱいになるわけでもないですし、自分が漫画家としてできることと言えば、皆さんの心がちょっと晴れやかになったり前向きになったりするお手伝いだと思うんです。チャリティーもそれと同じような感覚でやっていまして、チャリティーの対象者はもちろん、チャリティーに参加する方や運営をする方など、関わっている全ての人の気持ちが和らいだり、前向きになったりしてもらえれば嬉しいなと思っています。

 

―先生のお仕事について聞かせてください。どのような状況でアイデアを出されることが多いですか?

テレビを見る時も、散歩している時も、目に飛び込んでくるものに対しては常にアンテナを張っています。映画を見たり小説を読んだりすることも自分の趣味であるとともに、どこかでそれが自分の作品につながらないかという視点を常に持っていますね。

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