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新規進出企業レポート

2012年6月14日

グルメ、アート、音楽溢れる情報発信型のカフェバー

SLD SINGAPORE PTE LTD

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首都圏でカフェやダイニングレストランなど36店舗を展開し、店舗運営、コンサルティング、船上イベント企画など広範に空間プロデュース事業を手掛けるエスエルディー。今年の4月にシンガポールに現地法人を設立、7月上旬にはオーチャードのカッページテラスに海外1号店となる飲食店をオープンさせる計画だ。

 

日本で営む「kawara CAFE & DINING」、「かわらや」、「HiKaRi cafe & dining」は、食とアートと音楽が共存する独特なしつらえのカフェダイニングで、年間約120万人の利用客がある。主にM1・F1層(20~34歳の男女)から支持を集めているが、その7割近くが女性。店舗をメディアと捉え、大手化粧品会社やジーンズメーカー、ビール会社などとのコラボレーションでプロモーションが行われるなど、店舗が持つ情報発信力の高さが注目を浴びている。

 

今春からシンガポールに赴任し現地法人の社長をつとめている福森章太郎さんによると、シンガポールは都会的であり、東京とさほど変わらないような肌感覚が感じられたうえ、東南アジアのハブとして近隣諸国の都市へ情報発信しやすい土地柄であることが出店の決め手になったという。同社が展開する店舗でのフードとドリンクの提供比率は、食事をしながらビールやお酒を飲む行為があたりまえの日本ではほぼ半々といった形だが、シンガポールでは飲酒と食事は別々に行う傾向が強いように見えたことから、日本とまったく同じ業態を展開するのは困難と分析。そこで、フードとドリンクの比率を3:7にし、カフェ&バー業態の店舗をオープンすることにした。パブ利用もできる使い勝手の良い空間となる模様。スパイスやフレーバーが複数の中から選択できたり、一般のパブやバーで多いオイリーなメニューよりもあっさりヘルシー系の料理を提供、お酒を片手につまめるタパスメニューを充実させることで差別化を図る狙いだ。

 

海外出店という特別な気負いはない。「海外だからといって特別感はない」という福森さんは、シンガポールは小さな国とはいえ人口では大阪や新宿区ぐらいのボリュームがあるため3~5店舗程度の出店は可能と踏んでいる。1号店を旗艦店として、より特徴的な店舗を2号店、3号店として展開していくほか、クアラルンプールやバンコク、香港、上海などへの進出も視野に入れている。

 

リアル店舗が生み出す双方向のコミュニケーションを仕掛ける

フェイスブックやツイッターなどネットを介して情報が個人レベルですみやかに広がる時代だからこそ、リアルな店舗で生み出されるコミュニケーションや情報発信は特別な意味を持つ。何よりも人が価値となる業態だけに、やりがいもひとしお。「弊社は日本でライブハウスの運営も行っているので、リアルタイムにそのライブをシンガポールの店で上映したり、逆にこちらのアーティストを日本サイドに発信したり、音楽やファッションなどを時間差なく往来させるような仕掛けができたら。テレビ会議システムのようなものを利用し、同時送別会や歓迎会なんかもできたら面白いんじゃないかと」。

 

昨夏から出店計画を練り、実際に街を歩き回って市場調査や物件探しに奔走してきた。さまざまな人と出会う中で、面白そうな店ができそうだと、周囲の期待が高まっているのが感じられるという。「8年前に渋谷店からスタートし、東京の主要エリアと横浜で同様の業態を展開していますが、まずは日本というよりも東京というメトロポリタンシティの空気感を発信していけるような企業体でありたい。そしてアジアへと事業を拡大していく中で、日本とアジア各都市のカルチャーや情報を双方向で発信しあえる仕組みを確立させ、グローバルに存在感を増していくことを目指していきます」。

会社プロフィール

2004年創業、本社は東京都渋谷区。ドリンク、フード、音楽、アート、人など、さまざまなコンテンツを組み合わせ“時代に活きる空間”をプロデュースすることがモットー。カフェ、ダイニング、音楽ホールなど様々な業態の店舗や施設を展開しているほか、音楽フェスティバル、東京湾や横浜港で開催される音楽関連のイベントなどを企画・運営している。2012年4月、シンガポールに現地法人を設立し、海外展開をスタートさせた。

SLD SINGAPORE PTE LTD
80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898
TEL:6420-6807

 

取材後記

街を歩き回り、そのエリアがもつ独特な空気を嗅ぎ取って出店を決めることを信条としている福森さん。在星歴は取材の時点でまだ1ヵ月少々と短いながら、「観光ガイドブックには載っていない」素敵なお店やエリアについて、すっかり事情通だ。シンガポールの個人的なお気に入りスポットは、小さなバーやカフェをはじめ、インディーズなショップがあるバリレーンやハジレーンのエリア。特に注目しているのは音楽とアート、飲食が共存する「BluJaz Cafe」だそう。「ロチェスターパークにある一軒家レストランなども、贅沢なつくりだなと感じます」。行きつけのバクテー店もさっそく見つけたそうで、すっかりシンガポールになじんでいる様子。「住居を見つけるのはこれからなんですけどね(笑)」。

 

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80 Robinson Road Singapore 068898

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