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法律相談

2013年4月1日

Q.シンガポールには爆竹に関する規制があると聞きました。どんな規制ですか。

爆竹とシンガポール

以下、法律事務所における打ち合わせを終えた後の弁護士乙とそのクライアント甲氏との間における雑談でのやりとりの形で回答します。

 

甲:

シンガポールに来てまだ数ヵ月なんですが、旧正月に街を歩いていましたら、実際に火を使う爆竹の代わりに電子爆竹が使われているところを見ました。少し前まで中国に駐在していましたので、旧正月に爆竹をそこら中で鳴らす光景はこれまで幾度となく目にしていたのですが、このように実際の火を使わない上に、煙の出ないユニークな電子爆竹というのはシンガポールに来て初めて見ました。これって、何か法律の規制か何かがあるからなんですか。

 

乙:

シンガポールにおいては、Dangerous Fireworks Actという法律によって、現在は実際に火を使う爆竹や花火などの所持や使用等が原則として禁止されています。電子爆竹はおそらく、この規制に触れることを避けつつも、お祝い事に欠かせない爆竹の雰囲気を楽しむことができるようにと作られたものと思われます。なお、原則として花火・爆竹は禁止されていますが、政府は官報に公告することによってこの禁止を無条件または条件付きで個別に解除することができます。実際、先日の旧正月のRiver Hong Bao 2013にあたっても、主体、場所、日時、実施方法等を特定した上でこの法律上の禁止を一部解除する旨の公告が出されています。違反者には、刑事罰もあり、例えばこの法律に違反して花火・爆竹等を所持した者に対してはS$5,000以下の罰金若しくは2年以下の禁固刑またはこれらが併科されます。

 

この法律は、無差別に爆竹が用いられてしまったために複数の死傷者、物的な損害を出した1972年のChap Goh Meh(旧正月15日目を祝う行事)における不幸な大惨事が起こったことがきっかけとなり、それまでの花火・爆竹に対する規制を強化するために制定されました。ちなみにこの法律と直接の関係はありませんが、爆竹はシンガポールに外国から持ち込んではいけない物のひとつとしても挙げられています。

 

甲:

そんな法律があったんですか。でも、私がシンガポールで爆竹や花火を使用することはないと思うので、私にはあまり関係ない規制かもしれませんね。

 

乙:

確かに、甲さん自体がシンガポールで花火や爆竹を持ち歩いたりするようなことはないでしょうけれども、気を付けなければいけないのは、シンガポールにおいては、未成年者であっても16歳以上であれば、いわゆる少年法の適用がなく、通常の成人として刑事罰に服さなければならないということです。未成年のお子さんをお持ちの方は、お子さんが不用意に花火や爆竹などで遊ばないように日ごろから注意しておく必要があると思います。

 

実際にここ数年だけを見ましても、14歳や15歳の少年らが花火や爆竹を使用したことによって逮捕されているという実例があることがシンガポールの警察当局より発表されています。シンガポール政府のこの点に対する姿勢は厳格であると言ってよいと思いますので、注意が必要であると思います。

 

甲:

ああ、そうなんですか。うちのドラ息子には、友人達と軽はずみに花火や爆竹で遊んだりしないようによく言い聞かせることにしますよ。

 

乙:

あと、これは先日報道されていましたが、最近では、大気汚染が深刻な問題となっている中国の本土においても、煙が出ないので空気を汚すことがないという理由で電子爆竹がにわかに注目を集めているようです。国によって電子爆竹が使われる事情が異なるというのは、とても興味深い話ですよね。

取材協力=Kelvin Chia Partnership 高瀬 秀次郎

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.231(2013年04月01日発行)」に掲載されたものです。

本記事は、一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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