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法律相談

2010年3月15日

Q.私の自宅の周辺で新しいコンドミニアムの建設工事が行われているのですが、平日の日中だけではなく、朝8時ころから夜8時過ぎまで、日曜・祝日関係なく工事が行われていて、一日中騒がしくて日常生活に支障をきたしています。日本では作業時間に制限があったり、日曜・祝日の作業は認められていないと聞いていますが、シンガポールでは許されているのでしょうか。

建設現場の騒音

シンガポールにも、Environmental protection and management (control of noise at construction sites) regulationという建設現場の騒音に関する規制があります。したがって、同規制に違反した作業を行うことは認められていません。違反した場合は、4万シンガポールドルを超えない範囲での罰金等のペナルティーを受けることになります。

 

しかし、残念ながら、シンガポールの規制には、日本のように建設作業に関して地域による深夜早朝作業の禁止や日曜・祝日の作業を禁止するといった規制はありません。

 

具体的な規制値は、

  1. 病院・学校等がある場合
  2. 建設現場から150メートル以内に住宅がある場合
  3. それ以外の場合

 

とで異なっています。さらに、時間帯によっても異なる上限値が定められています。

 

たとえば、(2)の住宅の場合、月曜日から土曜日では、

a.  朝7時から午後7時まで:12時間にわたって継続する騒音に等しいものとして計算される騒音(※1)が75デシベル以下であり、かつ5分間にわたって継続する騒音に等しいものとして計算される騒音(※2)が90デシベル以下であること

b.  午後7時から午後10時まで:一時間にわたって継続する騒音に等しいものとして計算される騒音(※3)が65デシベル以下であり、かつ※2の騒音が70デシベル以下であること

c.  午後10時から午前7時まで:※3の騒音が55デシベル以下であり、かつ※2の騒音が55デシベル以下であることと

されています。日曜日・祝日では、

 

a.  朝7時から午後7時まで:※1の騒音が75デシベル以下であり、かつ※2の騒音が75デシベル以下であること

b.  午後7時から午後10時まで:※2の騒音が55デシベル以下であること

c.  午後10時から午前7時まで:※2の騒音が55デシベル以下であること

とされています。

 

このように、シンガポールにおいては、これらの規制が定める騒音の上限値以内である限り、作業を行っても構わないことになっています(もちろん、その性質上、上限値を超える大きな騒音が出るような作業は行えませんので、夜7時から朝7時までの間は、掘削機・粉砕機などを用いる大きな音や振動が出る工事を行うことは通常認められないことになります)。

 

本件の相談内容についてですが、公道の修理や上下水道・電気・ガス管の修理は上記規制の対象外ですが、今回のコンドミニアムの建設工事は規制対象となります。そして、生活に支障をきたすほどの騒音とのことですから、規制に違反している可能性もあります。まずは、National Environment Agencyに設置されている相談窓口にご相談されることをお勧めします。

 

規制値は段階的に厳しく見直されてきていますが、一部報道によりますと、近年の騒音に関する苦情数の増加から、当局は現在の規制の実効性に関する検討作業を行っているとのことです。規制の見直しが必要とされた場合、シンガポールの狭い国土の中で、都市化を進めるニーズと平穏な生活のニーズのバランスを踏まえた対応が当局によってなされるものと思われます。

取材協力=Kelvin Chia Partnership 濱田 和成

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.163(2010年03月15日発行)」に掲載されたものです。

本記事はは一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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