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健康相談

2015年6月16日

Q.健診で胃内視鏡検査を受けた際に、ピロリ菌に感染していることが分かりました。除菌療法を受けるよう勧められていますが、除菌療法とはどのようなものでしょうか?

ピロリ菌の除菌療法について

ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)は、胃で感染すると胃炎、胃十二指腸潰瘍および胃癌の原因になると報告されています。ほとんどは小児期に感染すると考えられており、親から子へ口移しで食べ物を与えることや不衛生な上水道が原因と言われています。また、ゴキブリがピロリ菌を媒介しているとの研究報告もあります。

 

胃の中にピロリ菌がいるかどうかは、尿素呼気試験をはじめ、内視鏡検査時に胃粘膜を採取して調べる方法、血液、尿もしくは便で調べる方法などで判定できます。尿素呼気試験は、検査薬を服用し、服用前後に吐いた息を検査するもので、簡単に行えて信頼度が高い検査とされています。ピロリ菌に感染していることが判明すれば、ピロリ菌を退治する除菌療法が勧められます。

 

ピロリ菌の除菌療法ですが、一般的には2種類の抗生物質とプロトンポンプインヒビター(PPI)と呼ばれる胃酸分泌を抑制する薬を服用し行われます。日本の保険診療では、1週間の服用が認められており、1回目の治療で除菌ができなかった場合には、もう一度だけ抗生物質を変更し除菌療法を行うことが認められています。シンガポールでは、ピロリ菌の除菌療法は10~14日間服用することにより行われることが多く、投薬量が多いため除菌の成功率も日本で行うより高い傾向があります。治療に伴う副作用としては、下痢、味覚異常、かゆみや発疹などのアレルギー反応および肝臓の障害などがあらわれることがあります。副作用の程度によっては、除菌療法を中止しなければならないことがあります。また近年薬剤耐性のピロリ菌が増えており、薬剤の組み合わせを変え、より効果的なPPIを投与するなどの工夫がなされています。

以下に一般的なピロリ菌の除菌療法の手順を示します。

 

①ピロリ菌に感染していると判定されれば、1次除菌療法として、アモキシリン、クラリスロマイシンという2種類の抗生物質とPPIを服用します。

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②①の治療後、除菌判定のため尿素呼気試験を行います。
日本ヘリコバクター・ピロリ学会ガイドラインによると、尿素呼気試験は、除菌治療薬服用終了後4週以降に行うことになっていますが、偽陰性例を少なくするため一般的には服用終了後8週以降に行われることが多いです。
より確実に判定するには服用終了後3ヵ月以降に行うことが望ましいとの報告もあります。

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③②の結果、除菌が成功と判定されれば、除菌療法は終了です。
除菌が失敗と判定されれば、2次除菌療法を行います。
2次除菌療法では1次除菌療法のクラリスロマイシンをメトロニダゾールという抗生物質に変えて行います。

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④③で2次除菌療法を行った場合は、②と同様に除菌判定のため尿素呼気試験を行います。

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⑤④の結果、除菌が成功と判定されれば、除菌療法は終了です。
2次除菌療法でも除菌が失敗した場合、シタフロキサシン、レボフロキサシンもしくはミノサイクリンなどの抗生物質を用いて、3次除菌療法、4次除菌療法を行うことがありますが、日本では保険診療の範囲外です。

 

除菌が成功しても胃癌のリスクが完全になくなるわけではないので、胃炎を指摘された方は年に1回は内視鏡検査を受けられることをお勧めします。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.277(2015年04月06日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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