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健康相談

2009年9月21日

Q.発熱と右の下腹の痛みがあり病院を受診したら虫垂炎と診断されました。幸い抗生物質を点滴して良くなりましたが、どのような時に虫垂炎は手術をした方が良いのでしょうか?

手術するべき?虫垂炎

「虫垂」は右下腹部にあり、大腸の始まりの部分の「盲腸」から出ているエンピツの太さほどの指状の突起です。「虫垂炎」はその「虫垂」の炎症で、以前は「盲腸炎」の名で知られていました。典型的な「虫垂炎」では、まず上腹部に痛みが出て、徐々に右下腹部へと移り、吐き気、発熱などが起こります。ありふれた疾患ですが、このような典型例でなければ診断が遅れることもよくあります。一昔前の日本では、「虫垂炎」を疑えば即手術をすることが一般的でした。それは進行すると手術がむずかしくなることと、お腹を開けてみないと正しい診断ができないことが多かったからです。

 

現在はCT検査や超音波検査などの画像診断が発達したおかげで、以前よりは診断が容易になり、軽症と診断されれば抗生物質の点滴でお腹を切らないで治療する(ちらす)ことも多くなりました。それでは、どのような場合に手術をした方が良いかというと、

 

  1. 初めから腹痛が強い場合:短時間で虫垂が穿孔する(破れる)ことがある
  2. 虫垂の穿孔、膿瘍(うみのたまり)を疑う場合:腹膜炎から敗血症になると非常に危険
  3. 虫垂に固まった便や異物が詰まっている場合:詰まりがあると炎症は良くならず、自然に詰まりが取れることはまれ
  4. 幼児:進行が早く穿孔しやすいため、原則手術
  5. 妊婦:重症度がわかりにくく、穿孔すると胎児への影響が大きい
  6. 再発を繰り返す場合:ちらした虫垂炎の25~60%は再発する

 

などがあります。いずれにしても症状、血液検査、画像検査により総合的に判断します。

 

手術は、従来の「開腹法による虫垂切除術」と「腹腔鏡下虫垂切除術」があります。「開腹法による虫垂切除術」では右下腹部に1ヵ所、「腹腔鏡下虫垂切除術」ではおへその下、下腹部の中央および左の計3か所に創(きず)ができます。「腹腔鏡下虫垂切除術」では腹部の創から腹腔内(おなかの中)にガスを送り込みおなかをふくらませ、腹腔鏡というカメラを創から入れて腹腔内を画面に映し出します。その画面を見ながら、他の2ヵ所の創から器具を入れて手術をします。二つの手術の利点をまとめてみました。

 

「開腹法による虫垂切除術」の利点

  1. 中学生以上では腰椎麻酔(下半身麻酔)での手術が可能(但し、全身麻酔が必要な場合もある):「腹腔鏡下虫垂切除術」の場合は、全身麻酔が必要
  2. 準備時間を含め、手術は一般的には短時間で終了可能
  3. 腹腔鏡下手術に比べコストがかからず、少ないスタッフで対応できる
  4. 大きく開腹すれば、進行した虫垂炎にも対応ができる

 

「腹腔鏡下虫垂切除術」の利点

  1. 手術創が小さく目立たない
  2. 手術後の回復が早い
  3. 小さな創から比較的広範囲に腹腔内を観察でき、他の臓器(腸、子宮、卵巣など)の異常をある程度調べることができる
  4. 小さな創から腹腔内を洗浄することが容易

 


ただ、以前に腹部の手術を受けているとおなかの中がくっついており、腹腔鏡ができないこともあります。また進行した虫垂炎では「開腹法による虫垂切除術」のほうが安全です。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.153(2009年09月21日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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