シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP「クループ症候群」とはどのような病気でしょうか?

健康相談

2008年3月17日

Q.「クループ症候群」とはどのような病気でしょうか?

夜間に悪化する病気「クループ症候群」について

クループ症候群は6歳以下、特に生後7か月から3歳までに多くみられる疾患です。

 

クループ(Croup)とはスコットランドの言葉で「しゃがれた声で鳴く」という意味があります。その意味通り、犬やあしかが鳴いているような甲高い咳、声かれといった症状を示し、夜間に症状が悪化するのが特徴であることから、慌てて夜間救急を受診するケースも少なくありません。

 

原因の大半はウィルス感染に伴うものですが、稀に細菌感染によっても起こります。これらがノドの奥にある喉頭(こうとう)というところに炎症を起こすことで発症します。

 

喉頭とは耳慣れない言葉かもしれませんが、丁度「のどぼとけ」の辺りを指します。気道の一部として空気の通り道であり、また声帯を含んでいるので発声にも関与しています。

 

小さなお子さんは未だ喉頭の内腔が狭く、組織が未熟なことでむくみやすい傾向があります。それ故に空気の通り道が狭くなりやすく、症状がでやすいのです。

経過はくしゃみ、鼻水や鼻づまり、ノドの痛みなどの風邪症状から始まり、しだいに声がかすれて特徴的な咳をします。症状がひどくなると息を吸う時にゼーゼーと音がします。発熱は高熱から微熱まで様々です。

 

治療は、喉頭の炎症を抑えるお薬を使用します。ステロイドと呼ばれるお薬です。軽症から重症までの全ての患者さんで有効性が認められています。吸入、筋肉注射、飲み薬、点滴などの投与方法があり、どの方法でも効果はありますが、吸入は他の投与法に比べて若干効果が落ちます。

 

吸入以外の投与法は軽症であれば通常1回で効果を示し、反復投与の必要がないためステロイドによる副作用はほとんどありません。ステロイド以外ではボスミンと呼ばれるお薬の吸入も即効性があるため主に重症例で使用されますが、効果が2時間程度しか持続しないために治療の主体ではありません。大半がウイルス疾患に伴うものなので、細菌感染のみに効果がある抗生物質は通常用いません。

 

自宅で出来る事としては、なるべくお子さんを興奮させたり、泣かせたりしない事。これらは喉頭の炎症を増強させます。水分を多くとることも重要ですし、呼吸をするのが苦しそうな時は上体を起こすことも有効です。

 

蒸気を吸う治療法も昔から行われてきました。熱いシャワーをしばらく流して蒸気を充満させた浴室などを利用して喉を加湿したり、吸入器で高湿度の蒸気を吸うなどの加湿療法などです。しかし最近の研究では思ったほど効果がないことが証明されています。喉を加湿する事自体には喉頭の炎症を改善させる効果はありません。しかし、気道からの分泌物が粘り気のある場合、それをやわらかくして排出させやすくする作用があるために、お子さんが嫌がらず泣かなければ試してみる価値はあると思います。

 

症例の8割は軽症で2~5日程度で症状が改善しますが、約5%の症例では入院治療も必要となってきます。呼吸が苦しそうであったり、動いている時だけでなく、じっとしている時でも息を吸う時にゼーゼーしている場合には重症ですので一刻も早く医療機関での治療が必要になります。

 

風邪症状の後にお子さんの声がかすれたり、いつもと違う咳が出てきたと感じた時はクループ症候群を疑い、昼間はたいしたことがないと思っても夜間に悪化する事も多いので、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

取材協力=日本メディカルケアー 池原泰彦

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.118(2008年03月17日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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