シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP人材省(MOM)から特別雇用還付金(Special Employ...

会計・税務相談

2013年10月21日

Q.人材省(MOM)から特別雇用還付金(Special Employment Credit)の支払通知を受け取りました。特別雇用還付金というのは、どのような制度でしょうか。

特別雇用還付金制度(Special Employment Credit Scheme)について

特別雇用還付金(SEC)は、2012年1月1日より「定年退職年齢法(Retirement Age Act)」に代わり「定年退職および再雇用法(Retirement and Re-employment Act)が施行されたのに合わせ、中高年の雇用を促進するために2011年度予算案において導入された制度です。当初は、満55歳以上かつ月額賃金S$1,700未満のシンガポール国籍または永住権者の従業員を対象とし、2011年1月1日から2013年12月31日までの3年間にわたり適用される予定でしたが、その後2012年度予算案において更に制度の充実が図られました。

 

2012年度予算案では、SECについて以下のような改正がなされました。

 

  1. 対象者を満50歳以上かつ月額給与S$4,000未満のシンガポール国籍または永住権者の従業員に拡大
  2. 中高年だけでなく、障がいを有する従業員(年齢を問わず)の雇用も対象とする
  3. 支給額の大幅な引き上げ
  4. 改正制度について2012年1月1日から2016年12月31日までの5年間にわたり適用

 

なお、SECは、シンガポール国籍または永住権者の従業員のみを対象としているため、就労ビザを取得して働く外国人従業員は対象外となります。

 

2012年1月1日より適用される制度では、月当たりの支給額は以下のように定められています。

 

満50歳以上の健常者の従業員
     S$0<月額賃金≦S$3,000 支給額=月額賃金×8%
     S$3,000<月額賃金≦S$4,000 支給額=S$960-月額賃金×24%

 

障がい者の従業員(年齢を問わず)
     S$0<月額賃金≦S$1,500 支給額=月額賃金×16%
     S$1,500<月額賃金≦S$3,000 支給額=S$240
     S$3,000<月額賃金≦S$4,000 支給額=S$960-月額賃金×24%

 

244

 

支給額が上記のように設定されているのは、SECが中高年や障がい者の中でも特に低賃金の従業員の雇用促進を意図していることによります。

 

SECは、中央積立基金(CPF)への毎月の拠出金の納付記録に基づき、1月から6月および7月から12月の半期分ずつに分けて計算され、上半期分は当年9月、下半期分は翌年3月に事業主に支給されます。事業主が銀行口座自動引落しによりCPF拠出金を納付している場合にはSECは当該口座に振り込まれ、そうでない場合には小切手にて支払われます。

 

今年の8月末にMOMから事業主に宛てて発行された文書は、2013年1月から6月の上半期分のSECの支給額に関する通知書です。

 

SECは、事業主の税務上は、課税所得として取り扱われます。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.244(2013年10月21日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP人材省(MOM)から特別雇用還付金(Special Employ...